3-3.正解と不正解

文字数 669文字

(ああ・・・また過呼吸になりそう・・・)



沖津に抱えられ、ぐったりしながら美羽は白いセダンの助手席に乗せられた。

伊藤浩介がカフェを出て追ってきた。



「おい!おっさん!!」



沖津は伊藤浩介の耳たぶに僅かに(かす)るくらいの弾道で銃を放った。伊藤浩介の耳たぶから血が舞った。

伊藤浩介は失神して倒れた。



「大丈夫だ浩介、かすり傷だ。すぐ治るよ!男なら多少理不尽な目に遭っても我慢だ!」



沖津は白いセダンに乗り込むと車を走らせた。
そのまま西方面に向かって走った。



✳︎


「浩介を・・・撃ったの?」



「かすり傷だ。あいつは、やめておいた方がいい。直感だけど、君には合わない」



「なんて人!信じられない!降ろして!」



「今更遅い、奴らに勘付かれた。身元を隠す」



「降ろして!!」



美羽は暴れ出した。足で床を蹴り付けドアを何度も叩いた。


「・・・ああ、そうかい!」



沖津は車を近くのコンビニの駐車場に止めた。


暴れる美羽を車から強引に引きずり下ろす。
スーツケースも乱暴に取り出した。





「いいかい?最後だから言っておくけど、奴らの真の狙いは僕じゃない、君だ!篠谷美羽」



「・・・私?」



「僕といるならば君の命は全力で守る。僕といることが正解だ!僕と離れれば君は死ぬ。僕と離れることは不正解だ!」



ワイン瓶を投げる。美羽は慌ててそれを受け取る。



「僕といるならば正解!離れれば不正解!」



沖津は車に入るとドアを強く閉めた。



「じゃあね、受験勉強、頑張って」



沖津は、美羽をその場に置いて、エンジンをかけた。
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