#1 野次馬の法則

文字数 416文字

 つまらない。激しくつまらない。
 一万円をあっという間にすられてしまい、手持ちが尽きてパチンコ店をあとにした。

 自動ドアを出るなり、血相を変えた警官が目の前を走り去った。
 警官でなければ後ろから「危ねぇよ」と罵声を浴びせてやるところだ。
 見送っていると、今度は5~6人の集団が走り抜けた。
 警官を追っているようなのだが、私服刑事にも見えないし、警官を捕まえようというつもりでもないらしい。

 何事だろうか。
 気になって私もあとに続き、そのうちのひとりに訊いてみた。
「なにがあったんだ?」
「知らねぇよ」

 この邪険なかんじ。
 ますます気になった。
 事情を隠しているのだろうか。これはめったに見られない事件が起こっているかもしれない。
 私はおいていかれないように走った。

 すると知らない人に声をかけられた。
「なにがあったんです?」
「知らねぇよ」
 声をかけてきた男も舌なめずりをして私のあとに続いた。
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