第11話 続く試練
文字数 478文字
かくして試練は続く。次は九条家の当主である隼人に目通りし、桜花が巫女の座を辞する許可を得なければならない。
二人はそろって当主夫妻の前に座り、頭を下げた。祖父に報告した時より、はるかに緊張の度合いは高い。
「二人とも今日は何だか、いやにかしこまっていませんか」
隼人が不思議そうに問いかけ、藤音は横でにこやかに成り行きを見守っている。
伊織の隣で先に口を開いたのは桜花だった。
「先だってはお暇をいただき、ありがとうございました」
「たまには休みも必要でしょう。遠海の祖父どのにはお会いできましたか?」
「はい。報告もでき、祖父も喜んでおりました」
「報告というと、何か大切なお話があったのですか?」
「はい……大切といえば大切なのですが……」
隼人は首をかしげた。どうも桜花のもの言いは歯切れが悪い。隣に座る伊織もとまどった様子で黙ったままだ。
これでは話が先に進まない。桜花はすっと息を吸いこむと、思い切って本題に入った。
「実は、今までご厚情をたまわってまいりましたが、この度、巫女の座を辞したく、お願いにまいりました」
「ええっ⁉」
隼人は驚愕した声を上げた。
二人はそろって当主夫妻の前に座り、頭を下げた。祖父に報告した時より、はるかに緊張の度合いは高い。
「二人とも今日は何だか、いやにかしこまっていませんか」
隼人が不思議そうに問いかけ、藤音は横でにこやかに成り行きを見守っている。
伊織の隣で先に口を開いたのは桜花だった。
「先だってはお暇をいただき、ありがとうございました」
「たまには休みも必要でしょう。遠海の祖父どのにはお会いできましたか?」
「はい。報告もでき、祖父も喜んでおりました」
「報告というと、何か大切なお話があったのですか?」
「はい……大切といえば大切なのですが……」
隼人は首をかしげた。どうも桜花のもの言いは歯切れが悪い。隣に座る伊織もとまどった様子で黙ったままだ。
これでは話が先に進まない。桜花はすっと息を吸いこむと、思い切って本題に入った。
「実は、今までご厚情をたまわってまいりましたが、この度、巫女の座を辞したく、お願いにまいりました」
「ええっ⁉」
隼人は驚愕した声を上げた。