第8話
文字数 420文字
ある日私が大学の研究室に行くと、上を下への大騒ぎになっていた。ひとりが私に気づいて、大声をあげた。
つまり、こういうことだった。
教授は私の知らない間に、私のアイデアを元に小型チューナーを作り、販売会社を設立して大手メーカーと契約し、個人向け製品として販売していたのだ。国内放送を聴かない私は、そのことをまったく知らなかった。製品はそこそこ売れたらしいが、製造にかかった費用を回収しないうちに、サボテンラジオそのものがなくなってしまった。会社は破産し、教授は失踪した。そして私は、いつの間にか会社の連帯保証人にされていた。
私の窮状は、借金取りが家に押しかけたことによって両親の知るところとなったが、ありがたいことにというか申し訳ないことにというか、彼らは先祖伝来の土地を切り売りして金を作ってくれた。私は大学を中退して、必死に働いた。
金、友情、信頼。さまざまなものを失ったが、サボテンたちと、彼らのための土地だけは死守した。
つまり、こういうことだった。
教授は私の知らない間に、私のアイデアを元に小型チューナーを作り、販売会社を設立して大手メーカーと契約し、個人向け製品として販売していたのだ。国内放送を聴かない私は、そのことをまったく知らなかった。製品はそこそこ売れたらしいが、製造にかかった費用を回収しないうちに、サボテンラジオそのものがなくなってしまった。会社は破産し、教授は失踪した。そして私は、いつの間にか会社の連帯保証人にされていた。
私の窮状は、借金取りが家に押しかけたことによって両親の知るところとなったが、ありがたいことにというか申し訳ないことにというか、彼らは先祖伝来の土地を切り売りして金を作ってくれた。私は大学を中退して、必死に働いた。
金、友情、信頼。さまざまなものを失ったが、サボテンたちと、彼らのための土地だけは死守した。