ぼたんちゃんの夏やすみ☆出発だよ!

文字数 4,091文字

1.

「よーしゅあちゃん!あっそびーにきたよー!」
夏休みのある日、わたしは教会にあそびにきました!
というか、ここにいる、よしゅあちゃんとダリアちゃんとおでかけする予定なんだけどね!
「・・・よしゅあちゃーん?いないのー?」
今は朝の九時。
いないはず、ないんだけどなー!
ガチャっ、っと、勝手知ったる玄関のドアに手をかけてみると、鍵、かかってない・・?
「よしゅあちゃんたち、不用心―!教会でも、ここに住んでるんだから、鍵はかけておいたほうがいいよー?」
と、声をかけながら、のぞいてみると・・・

ぶわっと、もわっとした空気と焦げた匂いとすっぱい臭いとふらついた、・・よしゅあちゃんが出てきた。
「よ、よしゅあちゃん・・・?」
「お、おはよ、ぼたんちぁyん・・・もう、時間だっけ・・・?」
「う、うん、電車の時間にはまだ間に合うけど、早めに来たんだけど・・・」
このニオイはやっぱり・・・?
「オハヨーございマース!今日ハ、スバラシイお出かけビヨリ、デスねー!」
「ダリアがさ・・お弁当を作るって、はりきっちゃって・・・!」
俺一人では、止められなかった・・!とじゃっかん、涙目でよしゅあちゃんが言う。
怖いものみたさで、台所をのぞいてみると・・・
フライパンの上の、ケチャップの海におぼれている、たまごやき?
サンドイッチのつくりかけ?のそばには、ジャムとヨーグルトとピーナッツバターの空の容器がころがってて、もうひとつのフライパンからぐつぐつと、不気味な音とニオイが立ち込めている・・・!
「ほら、ダリア、もうぼたんちゃん来たし、そろそろ(諦めて)行かないと!
多分、動物園に売店とか、食べるお店あるだろうし!」
「デモ、外デ食べるピクニック、おベントー、ナイとサミシクないノー?」
「外でそのサンドイッチとか食べるほうがさみしい気が、いや、なんでもない・・」
二人の会話をききながら、ふとテーブルの上を見ると、かわいい蓋付きのバスケット?がおいてあった。
あー、ダリアちゃん、せっかくのおでかけだから、(中身はともかく)がんばって準備してくれたんだー!とか、
このバスケット、よしゅあちゃんのお母さんが大切に使ってて、
教会が昔やってたお花見とか、遠足のときによく持ってきてたなーとか、とても懐かしい気持ちになった。
よしゅあちゃんのお父さん、もおせ先生が作ってた爆弾おにぎり、おいしかったなー、とか。
だから、つい、
「ねぇ、せっかくだから、このお弁当(らしきの)なんとかして、どこかにピクニックにいかない?」
と、わたしは言った。
だって、本当は動物園に遊びに行く予定だったけど、売店でご飯を食べることより、ダリアちゃんの気持ちや、このバスケットをもって皆でお出かけしたくなっちゃった!
もともと今日は、わたしの夏休みの宿題のためによしゅあちゃんやダリアちゃんが動物園に付き添ってくれることになってたんだけど、別に動物園は逃げないし、ね!
「・・、まぁ、今日は暑いから、動物園も暑いだろうしな・・」
本当にいいの?と、わたしに確認しながら、よしゅあちゃんも、わたしと同じように思い出のバスケットを見つめた。
きっと、同じように、もおせ先生たちのことを思い出したり、このバスケットでおでかけして、新しい思い出を作りたくなったんだよね!
・・・うん、そのあと、台所をちらっとみて、このバスケットにあの中身(物体X?)をいれるのか・・?と悩んだ気持ちも分ったかも・・・

2.

「こ・・・これは・・・一体・・・!」
と、食材がいっぱい入った袋をもった、よしゅあちゃんと樹太郎くんが台所の入口に立ち尽くす。
・・・うん、ダリアちゃんとわたしが台所を片づけている間に、よしゅあちゃんが樹太郎くん(お料理すっごく上手!)をピクニック&お弁当づくりに誘いにいったんだけど、・・まさか、戻ってきたら、さらに台所のさんじょう(漢字わかんない)がひろがってるなんて、思わないよね・・・
―けいいはこうです。

よしゅあちゃんが樹太郎くんに電話する。
→樹太郎くんがピクニックにいく、ときいたタケおばーちゃんが大喜びで、『良かったら家の食材もっていきなさい♪』といい、よしゅあちゃんも運ぶのを手伝いに行く。
→わたしとダリアちゃんが台所を片づけ、生ゴミを教会の外に捨てにいく。
→隣の家の、さくらさんが、お庭の水やりにでていた。
→ダリアさんが、「さくらサンモ―、ピクニック、イキマショー!」と誘う。
→さくらさんも、「いいの?じゃあ、何か手伝うわね!」と台所へ。
→二人で、さっき、フライパンの上でぐつぐつ煮えていた、何か、の救済をはじめる。
→さらに、何かをぐつぐつ、はじめる・・・

・・・こんな感じで。
・・・ごめんね、よしゅあちゃん、わたしも、この二人を止められなかった・・・!

ちなみに、二人の会話はこんな感じ。
「これ、何を煮てるの?」
「ソレがー、タンドリーチキン?カナダのー、教会の人ガー、ヤッテタノをオモイダシテー、チキンを、ヤイテみてー、ヤケテナイ、みたいダカラー、煮テミテー、」

・・・たぷたぷのヨーグルトとカレー粉がまざって、不思議なスープみたいになってるね!

「あー、鶏肉って、外は簡単に焦げるんだけど、中まで火が通らないのよねー!」
わかるわかるー、とさくらさんがうなづいて、
「大丈夫!レンジでチンすれば、簡単に中まで火が通るわよ!」
「さくらサン、サスガー!!」
・・・二人で、お肉をレンジにかけて、
「うーん、なんか、色が薄いわね!もっかい、塩コショーして、焼いて味付けしよっか!」
「ナルホドー、シッカリ味がツキマスネ!」
「この、カレー粉もスパイスがきいてて、おいしそうね!」(投入)
「ヨーグルトが、隠し味ダト、教えてモライマシター!」(どぼっつ、)
「ヨーグルトか・・・(ハッ!)
ねぇ!これに、マヨネーズもいれて焼いたら、もっとまろやかになるかも!」
「(・・!天才!)さくらサン、スバラシイ!」(マヨ投入、びゅー、びゅー)
「大変、焦げてきたわ!私、何故か焦がしちゃうのよねー!」
「「デモ、お湯を足せば、ダイジョウブ!!」」
じよわぁぁあああ!!!

・・・よしゅあちゃん、わたし、分ったよ・・・。
ダリアさんと、さくらさんは、心から本気というか、真剣にお料理に取り組んでるけど、
・・・やればやるほど反対側というか、何もしないほうが有難いこともあるね、とか・・

「ア!アト、ゆで卵ヲ、ツクリたいデス!」
「あ、それも、電子レンジなら簡単かも!」
「や、やめてぇえええ!(爆発しちゃぅうううううう!泣)」

そんなこんなの、台所で、よしゅあちゃんは、静かに、宣言した。
「さくらと、ダリアは、台所にはいるの、禁止・・!
・・・あっちの部屋でゲームでもしてろよ・・!」
焦げた、スパイシーさと甘ったるさの、妙なニオイの部屋の換気をしながら樹太郎くんがとりなす。
「まぁまぁ、よしゅあ先生、落ち着いて!
二人とも、美味しくつくろうと思ってのことですから!」
「そうは言っても、この二人がいたら、いつまでもお弁当なんてできないよ?!」
「失礼ね!ちょっと失敗しただけじゃない!」
「エライ人ガー、言ってマシター!ハラにハイレバ、みなオナジー!」
「ダリアちゃん、さすがにらんぼうだよぅ!」

3.

「えーと、では、まず、おにぎりの簡単なつくり方の説明をします・・」
結局、教会の広い台所に移って、『樹太郎先生のクッキング教室』がはじまりました!
みんなも気分一新、教会のエプロンをつけたよ!
樹太郎くんとわたしは、黒のお腹まわりだけの小さいエプロンで、
ダリアさんと、さくらさんは、前でリボンを結ぶ、かわいいエプロン!
そして、よしゅあちゃんは、
「・・、お、俺はエプロンいらないんじゃないか・・?」
「えー、だって、よしゅあと樹太郎くんでお弁当用意するつもりだったんでしょー、
だったら、よしゅあもエプロン必要じゃない!」
「スゴク―カワイーデス!」
ふりふりの、レースたっぷりの、白いエプロンでした★
ひまわりちゃんのかなー?それにしては、サイズが大きいような?

気をとりなおして、みんなでおにぎりをつくるよ!
具材は、梅干し、昆布、ツナマヨ、それに樹太郎くんがもってきてくれた唐揚げ。
ばくだんおにぎり、つくりたーい!
「・・で、お茶碗にもったご飯の真ん中に具をいれます、
・・・あの、さくらさん、そんなに昆布をとったら、はみ出ますよ・・
で、上手くご飯でふたをするというか、つつんで、
・・あの、よしゅあ先生、ご飯をさらに盛ると、ご飯大量のおにぎりになるというか・・
そして、ラップにとって、力をいれすぎずに、ぎゅっ、ぎゅっ、と握って、
・・あの、ダリアさん、冷蔵庫から何、もってきたんですか?
え?梅干しは苦手だから、イチゴジャムで代用・・?正気・・?」

だんだん、樹太郎くんもテンパってきてたけど、わたしのおにぎりは褒めてもらえたよ!

「うん、ぼたんちゃん(唯一)上手だね!海苔の巻き方が独創的だけど、うん、ばくだんおにぎりなら、ありだと思うよ!」

そして、みんなで、三十分くらいかけて、大小さまざまなおにぎりが完成しました★
これ、写真とって、自由研究で提出したらいいよね!

「・・・みなさん、お疲れさまでした!
あの、お疲れだと思うので、どうか、ダリアさんとさくらさんは休憩しててください!
あ、ぼく一人で、あと、ちょちょーい、と、おかずつくりますけど、いや、ほんと、たいしたことないですから!
もう、ぼく一人で、ささっとできるので!
あ、よしゅあ先生もどうか休んで!え、ピクニックの準備ですか?
どうぞどうぞ!ここはどうか!ぼく一人にまかせて!ハイ!」

・・・なんか、樹太郎くんが、必死のぎょうそうで、台所にみんなを入れないようにしてるというか、一人でお料理したい様子だけど、気のせいだよね???

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