第14章 空港第2ビル

文字数 7,583文字

 空港第2ビル

 成田空港の到着ロビーで、瑞希は史奈と一緒に百合香と兄の到着を待っていた。
 土曜日で学校は休みだ。先日帰国したばかりの未玲先生のレッスンは来週からで、史奈も塾はお昼で切り上げるから、一緒に行こうと言ってくれたのだった。かすみケ丘から瑞希と一緒にリムジンバスに乗った。
 海外に行ったことのない瑞希は、成田空港も初めてだった。先日の兄の見送りにも行っていない。
 終点の一つ手前の空港第2ビル駅で降りる。入ったところが到着階で、到着まではまだ一時間近くあるので、中を見学しようと、史奈と一緒に上階へ行く。出発ロビーの、巨大な体育館のような広大な空間に目を奪われながら、さらに上階へのエスカレーターに乗る。
 上階はレストランやショップが並び、外国人観光客も多かった。何となく自分も海外旅行に出かけているような気分になる。
「展望デッキへ行こう」
 外は秋の空気に変わりつつあるが、まだ少し蒸し暑い。
「わあ、飛行機がいっぱい」
 目の前には飛行機がこちら向きに何機も停まって、キーンという音を立てていた。その先にも何機かある。しかもすべてが同じ模様だった。トロッコのようなムカデのような自動車が行きかって、飛行機に荷物を積んだりしている様子も見て取れる。
「ここのターミナルはJALが主に使っているのよ。ちょうどこの時間に到着が集中するみたい。向こうの空に飛んでるでしょう。あれがこちらに旋回して来て、着陸するはずよ」
 見れば小さな白い機体がふんわりと漂うように空に浮かんでいる。あれがだんだん近づいてくるらしい。
「そんなにたくさん着陸すると混雑しそう」
「そうね。でも、各地から同じ時間帯に到着して、しばらくしてからまた同じ時間帯に出発するようにすれば、ここで乗り継いで、違う国に行くのに便利でしょう?そういうやり方を『ハブ・アンド・スポーク』っていうの。車輪の軸が空港で、そこから放射状に出ているスポークが航路っていうわけね」
「へえ」
 本当に史奈はいろんなことを知っている。
「ふみちゃんは外国行ったことあるの」
「夏休みに何度か。アメリカとイギリス、フランス、イタリアかな。カナダは行ったことないけど」
「すごーい。いいなあ」
「じゃあ、受験終わったら、春休み一緒に行こうよ」
 史奈は瑞希に向き直って微笑んだ。そして瑞希の手をそっと握った。

                   ***

 それは先日、練習を終えて、自分の部屋で、カナダ滞在中の兄からのメールを見ていた時だった。
 雪を被った美しい山々の写真のあとに、例の翔太からもらった音符のメモを百合香に見せたが、彼女もわからなかったようだ、という文面が添えられていた。
 百合香さんでもわからないか、と瑞希はスマホのスイッチを切った。そして現物のメモを取り出して眺めた。
 そこへ、史奈が入ってきた。
 今瑞希が使っている部屋は元々史奈の部屋で、彼女は一階の父親が使っていた書斎に移った。北海道に行っている間、史奈の部屋を瑞希が使っており、荷物を移動するのが面倒なのと、史奈自身も夜中まで勉強するので、一階の方が迷惑をかけないというのが理由だった。
「ちょっと一休みしたくなって。邪魔じゃない?」
 瑞希を少し探るような目で言う。
「ううん、全然。私はあとは寝るだけだから。ふみちゃんいつも大変だね」
 史奈は塾のある日は九時ごろ家に帰って来て、食事と風呂を済ませ、日付の変わる一時頃まで勉強している。
 瑞希も練習は何時間もするが、大好きなピアノを練習するのは全く苦ではない。いつまででも弾いていられる。勉強の方がずっと大変だと思う。さすがの史奈も、最近は少し疲労の表情を浮かべるようになった。少し休んだら、と思うが、自分も、誰かから疲れているようだからピアノの練習を休めと言われても、やめないだろうと思うので、黙っている。
「お勉強はそれほど大変でもないわよ」
「そお?」
「瑞希ちゃんがピアノが好きなのといっしょで、私、お勉強が好きだから」
「そうよね」
「ちょっと疲れ気味なのは、それよりも……」
 史奈は言いかけて黙った。
 何を言うのか、瑞希は史奈を見たが、彼女は特に何も言わず、沈黙が続いた。何かいつもと雰囲気が違う。史奈は口を開きかけて瑞希が手にしているメモに目をとめた。
「なあに?それ」
 瑞希は翔太からもらったものだが、どういう意味なのかわからないと言って、史奈に渡した。
「これ、前に瑞希ちゃんが言ってた、北山さんっていう子のつくった暗号ね」
「暗号かどうかわからないけど、曲でないことはたしかだと思う」
 史奈は思いのほか、興味を示して楽譜を見つめた。
「瑞希ちゃんはどういう意味かわからないのね」
「百合香さんもわからないってメールが来た。北山さんは音楽をやってるとかえってわからないって言ってた。じゃあ、どうすれば……」
 史奈が急に笑顔になって瑞希を見た。
「これって、すごい単純なんじゃない?」
「え、わかったの」
 史奈は、指で音符をなぞってみせた。
「八分音符の方は、音符本体を線でつないでみればいいんじゃない?縦棒は無視して……そうすると一小節目はカタカナの『ス』だし、二小節目は『キ』でしょ」
「え?……ああ」
 言われてみればそのとおり。とても単純だ。何で気づかなかったのだろう。音楽をやっているとかえってわからない、というのはこういう意味だったのか。



「私、囲碁をやるでしょう?終盤で石が増えてくると、碁盤が模様みたいに見えることがあるの。それを思い出しちゃった」
「すごい、ふみちゃん」
「『好き』って、じゃあ誰が好きなんだろう……それを残りの全音符とかが意味しているなのかな。でも、これって、ええと、『シ』と『ラ』だよね。『シラ』って何だろう。英語だと『シ』は『B』で、『ラ』は『A』だから、『BA』、『バ』?ドイツ語なら『HA』?」
 史奈は早口で呟いた。
「イニシャルなのかな。でも知ってるひとでそんなイニシャルのひとはいないしな」
 史奈はシラ、ラシ、とつぶやいている。ふと瑞希は気がついた。
「ふみちゃん、違うわ。『シ』と『ラ』じゃないよ。これってト長調だから。……楽譜のあたまにシャープが一つ付いてるでしょ」
「ト長調。何だか懐かしいわ。イ短調とか変ホ長調とか」
「そうよ。それで、『ドレミファソラシド』って、もともとは階名じゃない?」
 音の呼び方には音名と階名の二種類がある。音名は、音の絶対的な高さに基づくもので、欧米ではアルファベット、日本ではイロハニホヘトを使う。例えば四四〇ヘルツの周波数の音は、「A」音、日本式だと「イ」音だ。
 一方、ハ長調とかト長調など、ある調における主音を「ド」として音階をつくるとき、その場合の各音の呼び方を、階名という。こちらは一般に「ドレミファソラシド」を使うことになっている。「イ」音はハ長調では「ラ」だが、イ長調では「ド」になる。
 もっとも、実際は、器楽曲などの楽譜の旋律をドレミファで歌うときなど、調に関係なく、「C=ド」として扱うことが多い。「固定ド」などと言ったりもするが、これは「ドレミファ」を音名として使っていることになる。
 日常的にはこのように曖昧なところもあるのだが、今はいちおう、教科書通りの用法に従うこととする。
 と説明するまでもなく、すでに答えは明白だった。ト長調ではB音は「ミ」、A音は「レ」になる。
「ミレ」、すなわち「未玲」のことだ。
 以前西山家で百合香の絵をじっと見ていたので、百合香に目を奪われていたのかとずっと思っていた。しかし、そうではなかった。彼は百合香の後ろで微笑んでいる未玲先生を見ていたのだ。その可能性はちらっと頭をかすめたものの、すぐに捨てていた。
 年上の美しい女性に対する思慕。でも未玲先生が少年の思いを受け入れることはなく、あの日、少年は未玲に別れを告げようと考えたのだろう。
 最後の日、先生にどのように言おうか、少年は考えていたのではなかったか。あるいは会うのが最後になる自分のことを思い浮かべていたのかもしれない。彼の集中力はかなりのもので、音楽の演奏にも発揮されていた。その時も考え事に夢中になってしまって車に気づかなかったとしても不思議ではない……。
 
 瑞希はすぐそばに史奈が近づいていたのに気がついた。
「どうしたの?何だか難しい顔をしているよ」
「ううん、なんでもない」
 瑞希は苦笑いをしようとして、代わりに涙があふれてきた。
 え、どうして?
 自分でもわからないが、涙は止まらない。
 ハンカチを出して目に当てる。
 それでも涙はなかなか止まらなかった。
「瑞希ちゃん、その亡くなった子のことが好きだったの?」
「え?」
 史奈は、自分が少年が別の女性を愛していたことを知って悲しんでいるのだと、誤解したようだ。いや、そう考えるのが普通だろう。しかし違う。
 瑞希は首を振った。
 悲しくなったのは自分自身に対してだ。こんなに切ない少年の思い。誰にも言えずに楽譜に託すしかなかった。それを渡されたのに、ずっと気づいてあげることができなかった。自分はダメだ。
 史奈がティッシュを頬にそっと当てた。
「ありがとう」
 何も言わずに史奈は微笑んだ。それは何もかもわかっている、わかっていて、受け入れてあげる、という表情に瑞希には感じられた。自分に都合の良すぎる解釈かもしれないが、そう信じたかった。
 瑞希の涙が乾くまで、史奈はじっと待ってくれた。そして、
「私の勘違いじゃなかったみたい」
「勘違い?」
 史奈はゆっくり首を振った。
「いいのよ」
「え、なにが?……よくないわ」
 すると、史奈は少し考えるような表情になった。が、すぐに再び笑顔になって言った。
「私、瑞希ちゃんのこと、好きよ」
「……」
「大好きなのよ。べつにイヤらしい意味じゃないわ。瑞希ちゃん、かわいいし、一緒にいると楽しい気分になるし」
「そうかなあ」
「瑞希ちゃんはそうでもない?」
「ううん、そんなことないよ……」
 まなざしの感じから、史奈は友達以上の思いを自分に抱いているらしい。それはちょっと、と言おうとして、気づいた。
 史奈の言葉に、暖かいものが身体の中で広がっていくような気持ちがする。何だろう。
「私、受験が終わるまではこんなこと言わないでおこうと思ってたの。でも、もやもやするのをそのままにしておくのが苦しくなって」
 史奈はそう言って瑞希を見つめた。
 瑞希はいつになく不安で儚げな様子の史奈が愛おしく思えてきた。そこで言った。
「ふみちゃん、私もふみちゃんのこと好きだよ」
「本当?」
「うん。たぶん」
 さっきから感じる暖かいものの正体が何となくわかった。
 好きといっても、そんなに激しい感情ではない。といって、肉親への愛情とも違う。ただの友情ならこんなに心がドキドキすることもない。不安と期待の入り混じった感覚。
 これが恋愛なのだろうか。
 生まれてはじめてだった。今までこんな気持ちになったことはない。といって、同性の史奈にそんな感情を抱くのが変だという感じもしなかった。
 史奈がすっと寄ってきた。
 瑞希はたずねた。
「ふみちゃんは男の子には興味がないの?」
「うん。今はね」
「ひとつ訊いていい?……もう昔のことだけど、おにいちゃんとデートしたって言ってたじゃない」
「そうね」
「そのときはまだ興味があったの?」
 史奈はゆっくりと首を振った。
「私もその頃から自分が少し変だなって思ってたの。クラスのみんなが男性のアイドルのことを話してても興味なかったし。だから悠太さんとデートしたら違うように思えるかもって、少しは考えたかな」
「で、どうだったの」
 史奈は黙った。少しして、
「悠太さんとのデートは楽しかったわ。気を使って結構疲れたけどね。でも、悠太さんから、私とは付き合えないって言われて、やっぱりね、って思ったら涙が出てきたの。自分はほかの子みたいに、好きになってもらえないんだって」
「そんなことないよ。ふみちゃんは……」
 史奈がどんなに愛らしく魅力的であっても、百合香ひとすじの兄の気持ちを変えるのは、難しい。でも、話を聴くかぎり、史奈は男性に興味がないというよりも、心惹かれる相手に巡り合っていないだけではないだろうか、とも思った。
「瑞希ちゃんはどうなの」
 史奈の問いに、瑞希はとまどった。
「私?そうね、私も男のひとには興味がない。といって、そんなに女の子が好きっていうほどでもないかな。でもふみちゃんのことは好き。それは本当だよ」
「うれしい。それで十分」
 史奈が瑞希の手をそっと握った。
「受験終わっても一緒にいたい。ううん、大学を卒業しても」
「うん」
「ずっと一緒に暮らそう」
「いいよ。でも涼子先生は?」
「お母さんは大丈夫よ。もし反対したら私が説得するから」
 史奈はそう言って、微笑んだ。

                   ***

「もう、そろそろだわ」
 到着便の表示を指さして史奈が言った。
 展望デッキから一階に移動する。
 史奈の言うとおり、ほどなくして二人が姿を見せた。
 悠太は出かけたときと同じポロシャツにチノパン。百合香も悠太に合わせてTシャツにジーンズというラフな格好で、細く華奢なスタイルはそのままだった。だが、美しさは一層増したように思える。
「おかえりなさい、百合香さん」
 史奈が声をかけた。
「わざわざ来てくれてありがとう。瑞希ちゃんもね」
「はい。……おにいちゃんもおかえりなさい」
「ただいま」
「なによ、あんまりうれしそうじゃないじゃない。楽しい時間が終わってがっかりみたいね」
「うふふ」
 史奈が笑顔を見せた。
「いや、そんなことないよ」 
 悠太は、にやっと笑ったものの、図星だったらしく、ほっと小さくため息をついたのを瑞希は見逃さなかった。
 百合香と二人で旅行できたのだから、これほど楽しく幸せなことはなかったに違いなく、いきなり現実に引き戻されて、浮かない気分なのだろう。気持ちはわかる。

 四人で、空港内のレストランで食事をすることになった。
「これ、瑞希ちゃん、これ史奈、お土産どうぞ」
「うわあ、ありがとうございます」
「ちょっとおしゃれな石鹸のセットは二人に共通ね。あと、瑞希ちゃんにはペンダント」
 瑞希のお土産は、バンフとジャスパーでそれぞれ買ったものだった。
「わあ、きれい」
 ペンダントは基調の緑にオレンジ色が混じる、オパールのような複雑な色合いの石だった。ハート形に成形されている。。
「アンモナイトの宝石化したもので、『アンモライト』っていうのよ。おかしな名前だけど、きれいだと思って買ったの」
「ありがとうございます。さっそく着けてみようかな」
 瑞希は実際に首にかけた。
「かわいいわ。似合うんじゃない」
「そうですか。よかった」
「史奈には、欲しがってた先住民の工芸品」
 こちらはバンクーバーで買った、鷹か鷲をデザインした、薄い木彫の壁掛けで、色鮮やかで形も独特だった。
「かっこいい。すてきね、ふみちゃん」
「うん。……ありがとうございます。百合香さん」
「それと涼子先生には、化粧品。わたしも使ってみて、よかったものなの。渡してあげて」
「はい」
 瑞希は兄の方を見て言った。
「で、おにいちゃんのお土産は?私のはいいけど、史ちゃんや、お父さんとお母さんのは買って来たんでしょうね」
「もちろん。瑞希にも買ってきたよ。これ。UFOキャッチャー、じゃない、ドリームキャッチャー。定番でしょ。こっちは史奈ちゃんの」
「ありがとうございます」
「まあ、いいでしょ。色がかわいいから」
「自分としては結構いいやつを選んだつもりだからね」
「そうですね、センスいいです。レースの模様が細かくてきれい」
 史奈がにっこり微笑むと、悠太は「そうかなあ」と相好を崩した。あいかわらず単純なんだから、と瑞希は思って百合香を見ると、何となく不安げな表情で史奈と悠太とを見ているのだった。
 百合香さんもあいかわらずね、と瑞希は思った。自分にいつまでも自信が持てないのか、嫉妬というほど強い感情ではないが、兄が史奈と親し気にしていると、つい不安に感じてしまうらしい。
 二人で旅行して、より関係は深まったんじゃないのかしら。もちろん、彼女にとって男女のことは漠然としたイメージしかないのだが、恋人同士の絆で結ばれて、兄が別の女性に関心を持つことなどないと、百合香も確信が持てたはず。それでもまだ兄を信頼しきれていないのだろうか。
 ほんの少し心がざわついた瑞希だったが、注文した料理が届いたので、食いしん坊の彼女の気持ちは食べることに向いた。
 食後にアイスティを飲みながら、自分もそのうち海外で暮らすことがあるのかな、と瑞希は思った。
 四郎との話題にも出たが、未玲先生にも、大学を卒業したら、留学も考えた方がいいわよ、と言われている。かなり先の話ではある。でも、音大の学費も相当なのに、さらに留学となると、そこまで親に経済的な負担をかけていいのだろうか、とさすがの瑞希も心配になる。百合香さんや未玲先生みたいなお金持ちなら、そんなことを考える必要はないのだろうが。
「瑞希ちゃん、ミレ先生のレッスンは始まったの」
 史奈と話していた百合香がこちらに話を向けて来たので、瑞希は慌てた。
「あ、はい。来週から。これまで練習してきたシューベルトの二十番のソナタをみていただいて、あとはプロコの二番」
「シューベルトはすてきな曲よね。わたしは特に終楽章が好き」
「はい」
 未玲先生とは昨日、駅前のコーヒーショップで会った。時間もあんまりなかったので詳しい話は聴けなかったが、旅行疲れもなく、むしろリフレッシュしたせいか、かなり元気になった感じだった。やはり気分転換になったのだろう。瑞希はほっとした。
 でも兄たちと一緒にドライブ旅行までついて行ったというのには驚いた。二人から誘われたから、というのだが、普通は遠慮するものじゃないかしら。でもそんなところが未玲先生らしいとも思う。それに最後の何日かは二人だけにしてあげたらしいから、それほど恨まれることもないだろう。
 その未玲先生からもお土産をもらった。かわいい色と柄のカウチンセーターで、冬になったら着てみようと思う。

 食事をして、土産物屋をぶらぶら見て歩いて、帰路についた。
 来たときと同じ、かすみケ丘行きのリムジンバス。
 前に座った兄と百合香は、さすがに疲れているのか、口数も少なくなった。しばらくすると百合香が兄の方に頭を寄せて寝てしまった。兄はそんな百合香を愛おしそうに時々見ていたが、彼もまた疲れたらしく、幕張の高層ビル群が見える頃には寝てしまった。
「瑞希ちゃんも疲れた?」
 史奈がそっと聞いた。そして、瑞希の手を再び握った。
「ううん、それほどでも」
 瑞希も囁くように答え、史奈の手を握り返した。




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