ビキニ勇者の倒し方

魔法使いの地下迷宮

エピソードの総文字数=1,228文字

……自らお出迎えとは、意外と度胸があるみたいね。迷宮の奥まで探しに行く手間が省けたわ。
そう言って、手にした大剣を相手の胸元にピタリと突きつけたのは、軽装の革鎧に包んだ豊満な身体つきの女戦士だった。

燃えるような赤い髪、怒りを湛えた大きな瞳。

敵地にあっても怯むことなく胸をそびやかす姿は堂々たるもの。
高名なる勇者ティアリス・ライオンハート様ご一行の来訪とあれば、な。
対峙する男──ローブ姿の魔法使いが応じる。

突きつけられた刃など目に入らぬかのような落ち着き払った態度。

それは、この迷宮の主であればこそ。
邪悪な魔法の力で近隣の住民らを支配してきた自信と傲慢の現れか。
闇とせめぎ合う黄金色の炎。

地下迷宮のエントランスのあちこちに焚かれた篝火に照らされて、広大な空間には幾本もの柱と巨大な石像の影が揺らめき、まるで神話の世界の荘厳な神殿のようだ。

だが、それはこの男、バロクが人々を脅して貢がせた財によって築かれた邪悪の所産であった。
金品ばかりか年端もゆかぬ少女たちまで差し出させる非道。恥を知れ! 例え神が見過ごそうと、このあたしは許さない。覚悟しなさい!
ハッハッハ……恥を知れと来たか、それならお前はどうなのだ、そのはしたない格好は。
魔法使いが哄笑を放つ。
肌も露わな、男を誘うかのような出で立ち。勇者というより、色情狂ではないか、ハハハハハ!
確かに、彼女は半裸も同然の格好をしていた。

たわわな胸の膨らみを包み込む黒革のホールターを支えるのは、わずかな面積の真鍮製アンダーベルト。その下にうっすらと、しなやかな動きをするであろうことは疑いようのない腹筋の縦一筋が、ヘソのくぼみを経て、これもまた黒革のレザーパンツへと吸い込まれている。
くびれたウェストとは対照的に大きく張り出し、艶やかな丸みを帯びた臀部を覆うパンツにあしらわれた金属部分は申し訳程度。装飾の役目しか果たしていないように見える。

スラリとした両脚は剥き身のままブーツとの間に肉づきの良いむっちりとした太腿を無防備に晒していた。
それとも、その格好は後ろに控える金魚のフンどもへのサービスか。その尻の振り乱れる様で発奮させているのだな、クク……ククククッ。
そう言って薄ら笑いを浮かべ、バロクがティアリスの背後の冒険者たちを顎でしゃくってみせる。
……。
……。
……。
……。
そこらの村娘ならば、この侮辱に泣き出しそうな顔で頬を染めただろうが、ティアリスは勇者、世界を旅して回る歴戦の女だ。

挑発には乗らず、不敵に鼻で笑い返す。
あたしの仲間は貴様とは違うのよ。発奮するのは邪悪を討つためだけ……お生憎様。
言いながら腕を引き、剣を構え直す。

砲弾のような乳房が微かに震えた次の瞬間、その身体は高々と跳躍していた。
てえりゃああああああああっ!
両手で振りかぶった大剣がバロクの頭を砕かんと打ち下ろされる。

が、魔法使いも遅れはとらず、その指を空に滑らせ魔法の印を結ぶ。
ピンクと赤の二色が入り混ざった、まばゆい魔法の閃光か迸った。

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