6 心の理論
文字数 2,160文字
さて、世界各地へ散っていったホモ・エレクトスだが、ホモ・ハイデルベルゲンシス(ヨーロッパ)、ホモ・ネアンデルターレンシス(ヨーロッパ)、ホモ・ローデシエンシス(アフリカ)、ホモ・フローレシエンシス(インドネシア)、そしでシベリアのデニソワ人など、複数の種に進化していく。
まだ見つかっていない種もたくさんいるだろう、と推測されている。
ぼくらのご先祖様はじつに多彩だったんだよ
うち、有名なネアンデルタール人は、およそ23万年前から4万年前ごろまで活躍していたとされる。
注目すべき特徴は死んだ仲間を埋葬していたという点。
また、障がいをもった仲間を助けていたと思われる考古学的痕跡もある。
E.フラー・トリーは、この段階で、人類の祖先は「他者への思いやり(共感力)」を身につけていたのではないか、と推測している
もちろん、推測でしかない。
ただ、ぼくらは一般に、2歳ころには自己認識をもつようになり(鏡像を自分だと認知することができるようになり)、4歳ころから、相手(他者)の目線・立場にたって物事を考えられるようになる、というから、ホモ・エレクトスの段階で自己認識を身につけたとするなら、次のステップはそうなるのではないか、という想定に基づく
財布は冷蔵庫の中にあるんだから、単純に「冷蔵庫の中!」と言う。
つまり、ぼくの視点・立場に立ててないんだよ。
確かに、財布は机の引き出しから冷蔵庫の中へ移っているけれど、それをトイレに入ってるぼくは見てないから知らない、ということが分からない
さてと、ぼくらに直接つながってくるご先祖様は、6万年前(もっと前という説もある)から本格的な「出アフリカ」をし、世界各地へ移動していたったホモ・サピエンスだ。
ちなみに、ホモ・サピエンスはネアンデルタール人やデニソワ人そのほかと交雑したことがDNA分析の結果、分かっている
あ、そうだ。もう一つ、内省的自己意識をもっていただろう、と推測される理由の一つに、言語の使用があるね。
言語の使用をうながす遺伝子としては、FOXP2遺伝子が発見されており、20万年前にはすでにこの遺伝子が出現していた、とか、あるいはもっと前だ、とか言われているが、いずれにせよ、ホモ・サピエンスが言語を使用していたのは間違いない。
また後でふれたいと思うが、内面の発達と言語の使用は、相互に関連するものだろう
さっき言ったように、ホモ・サピエンスが「出アフリカ」をし、世界各地へ散らばっていく前には、すでにデニソワ人やら教科書でおなじみジャワ原人やら北京原人やら何やら、要するに、ホモ・エレクトスの様々な種が先住してたんだよ。
にも関わらず、現在、生き残っている種は、ぼくらホモ・サピエンスだけなんだよ。
ホモ・サピエンスがやってくると、ほかの(古代型)人類は、みーんな消えてしまった