チョコの海岸物語
文字数 1,898文字
アリスは、眩いばかりのサンゴ礁に自分の将来を重ねた。
片想いが、いつか両想いになり、そして愛しのアッシュとゴールイン。
それ以外の道を、アリスは思い浮かべることができない。
アリスが握りしめる右手には、アッシュに渡したい愛のかけらが、その時を待っていた。
その夢を実現する、第一歩となるはずの、大切なプレゼントだ。
しばらく経って、アッシュがアリスを見つめながら口を開く。
そう言うと、アリスは握りしめた手をアッシュに伸ばした。
そして、アッシュの手のひらが反射的に開くと、そこにプレゼントを優しく置いた。
アッシュは包みを開き、アリスのお手製チョコを眺めた。
においも色合いも、決して悪くなかった。
それだけに、アリスは祈るような気持ちでアッシュの表情を伺っていた。
アッシュは、アリスの魂込めて作ったチョコを、一気に口の中に入れた。
噛んだ。
……ガリッ!
その時、プライベートビーチの先にある別荘のドアが開いて、中からトライブが二人に向かって駆けてきた。
その手には、アリスの渡したものよりも一回り大きめのチョコが握られていた。
アッシュは、そう言うなりトライブの作ったチョコを口に持っていった。
噛んだ瞬間、その顔は大きくうなずいた。
銃と剣、二人の「最強」が同時に砂浜を歩き出した。
少しずつ遠ざかっていく二人の背中に、アリスは付いて行くことすらできなかった。
浜辺の剣士が見つめたのさ。
浜辺の剣士が見つめたのさ。
ザザーン……、ザザーン……。