第3話 公開捜査
文字数 1,647文字
あまりにも突然の出来事に頭を抱え込んでいると、
玄関の扉をノックする音が聞こえてきた。
今は来客の相手をしている場合ではないため、俺は居留守を決め込む事にした。
しかし、考える事を阻止するかのように、来訪者のノックは鳴り止まない。
しつこい来訪者に根負けした俺は、仕方なく玄関に歩み寄る。
これはまずい。
中に入られると名取が見つかり、俺は何らかの容疑が掛けられるかもしれない。
かと言って、門前払いをする事は不可能だ。
必死に名取の名を叫んだ所で、自分が布団の中にいる事に気が付いた。
Tシャツは汗だく、頭は真っ白で何が起きたのか把握出来ない。
年齢的に明らかに食い違いがあるし、冷静に考えてみると、おかしな点がある。
少女の名前や家にいた経緯も聞いてないので、全てが嘘な可能性も高い。
少女の様子が気になり、部屋の中を見回してみるが、少女の姿はどこにもなかった。
寝ていたはずの窓側には、貸した座布団がきちんと折り畳まれている。
ルキアは今日は帰って来なかったようで、部屋に姿はなく心でそう問いかけてくる。
とりあえず汗だくのシャツが気持ち悪いので、すぐさまシャツを脱いで、脱衣カゴに投げ、
タオルで体を拭いて真新しい服に着替える。
気持ちを切り替えて、ハンガーから服を手に取り、身にまとう。
てっきり家に帰って行ったのだと思っていたが、
少女は家の前で立っており、一人で空を見上げていた。