第21話 頑固親父の変貌
文字数 685文字
「最初に結婚の意向を報告した時、夫はあやうく手討ちにされるところでした」
今思い出しても冷や汗ものだ。
──この不埒 者! よりにもよって姫さまをたぶらかすとは……そこへなおれっ、父が成敗してくれるわ !!」
──待てっ、勇仁、話を聞けっ !!
勇仁は本気で刃を振り降ろし、阿梨がとっさに剣を抜いて刀身を受け止めなかったら、勇駿の首は胴体から離れていただろう。
「義父を説得するのは大変でした」
阿梨は、はあ、と再び深いため息をつく。
ガチガチ石頭の頑固親父は押しても引いてもびくともしない。
業を煮やした阿梨は、いっそ子供でも作って反対できないようにしてしまおうと、枕をかかえて夜這いに行ったのだが、さすがにこの強行策は勇駿本人に反対されて実行されなかった。
──考えてもみてください。そのような事態になったら、今度こそ本当に俺の首が飛びます。
枕をかかえたまま、阿梨は沈黙した。……それは困る。
「どうやって説得なさいましたの?」
「最終的にはわたしの父の口添えでどうにか収まりました」
──勇仁よ、そなたは自分の息子が信じられぬのか?
国王陛下の仰せでは仕方がない……勇仁は渋々同意したが、やれ身分が違うだの王家に申し訳ないだの、結婚当初はずっとブツブツ言っていた。
その頑固親父が変貌を遂げたのは、勇利と梨華が生まれた時だ。
初孫を腕に抱いた瞬間、勇仁の鬼瓦のような表情はあえなく崩れ去り、今ではすっかり親バカ……いや、爺バカである。
今思い出しても冷や汗ものだ。
──この
──待てっ、勇仁、話を聞けっ !!
勇仁は本気で刃を振り降ろし、阿梨がとっさに剣を抜いて刀身を受け止めなかったら、勇駿の首は胴体から離れていただろう。
「義父を説得するのは大変でした」
阿梨は、はあ、と再び深いため息をつく。
ガチガチ石頭の頑固親父は押しても引いてもびくともしない。
業を煮やした阿梨は、いっそ子供でも作って反対できないようにしてしまおうと、枕をかかえて夜這いに行ったのだが、さすがにこの強行策は勇駿本人に反対されて実行されなかった。
──考えてもみてください。そのような事態になったら、今度こそ本当に俺の首が飛びます。
枕をかかえたまま、阿梨は沈黙した。……それは困る。
「どうやって説得なさいましたの?」
「最終的にはわたしの父の口添えでどうにか収まりました」
──勇仁よ、そなたは自分の息子が信じられぬのか?
国王陛下の仰せでは仕方がない……勇仁は渋々同意したが、やれ身分が違うだの王家に申し訳ないだの、結婚当初はずっとブツブツ言っていた。
その頑固親父が変貌を遂げたのは、勇利と梨華が生まれた時だ。
初孫を腕に抱いた瞬間、勇仁の鬼瓦のような表情はあえなく崩れ去り、今ではすっかり親バカ……いや、爺バカである。