第四幕(10)

文字数 252文字

セレム。

君は、この物語の結末を見ずに逝った。そのほうが幸せだったかもしれない。

宇宙船が着陸してからというもの、冬の星ゲセンは恐ろしいスピードで「近代化」への道を突き進んでいる。

カーハイドとオーゴレインは小競り合いをやめて講和を結んだ。

そして今や、史上初の、ゲセン統一軍が組織されようとしている。

じきにエキュメンのうちでも群を抜いて優秀な軍隊になるにちがいない。ホルモン抑制剤でコントロールされたゲセン人ほど、規律と自己犠牲の精神に富み、死を恐れぬ者たちは他にいない。

これが、僕らが夢見た、未来だったのか?
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登場人物紹介

ゲンリー・アイ

地球出身。惑星同盟《エキュメン》の特使。惑星《冬》ことゲセンに単身降り立ち、カーハイド帝国の皇帝に開国をうながす。長身。性格は誠実で直情的。推定される容貌はアフリカ系。男性。

セレム・ハース・レム・イル・エストラヴェン


ゲセン出身。帝国カーハイドにおける《王の耳》(宰相に相当する最高実力者)。ゲンリーの使命の重要性をただ一人理解する。やや小柄(ゲセン人の平均的体躯)。性格は慎重かつ大胆。推定される容貌はアジアあるいはエスキモー系。中性(両性具有)。

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