第14話 一歩目のやり直し

文字数 7,427文字

※――――――――――――――――――――――

 キュッ、キュッ、と擦れる音は、慣れてしまえば案外気持ち良い音にも聞こえてくるものだ。そして静かに投じたボールがネットの内側を擦るのは快音と言っても過言ではない。我ながら華麗に決まったスリーポイントシュートは、チームメイトが称賛の声を上げる合図となる。

「っしゃあ! 海渡ナイス!」

 俺は同級生の呼び掛けに片手を上げて応えると、すぐに自陣のゴールへと駆け戻る。試合中のこの慌ただしさもバスケットボールが好きな理由の一つだ。

「峯岸もっと下がれ! 八番速攻くるぞ!」

「はい!」

 チームのキャプテン、そして司令塔として指示を飛ばす。夏の地区大会で敗退してしまった桃川中学バスケ部には、もう三年生がいない。引き継がれた役目は重責とも言えるが、気合いが入ると考えれば悪くは無かった。

 指示を受けた後輩は今年入ったばかりだが、その俊足を活かして攻守ともに幅広く活躍している優秀な選手だ。レギュラーは二年生で埋まるかと思われたが、秋の大会ではわからなくなっているかもしれないとも思う。

 だからこそ、部内での紅白戦はいつも盛り上がる。スタメンに起用されるために躍起な同級生。その座を強かに狙う下級生たち。普段は仲の良いメンツがこうして本気で争えるのは、スポーツの世界ならではだろう。

「岩本先輩!」

 試合終了まで残りわずか。後輩から受け取ったロングパスを拾い、ドリブルで俺のマークに付いていた同級生を抜き去る。表示された残り二秒のデジタルタイマーを確認すると、大きくもない体を精一杯浮かし、その場からボールを放った。今度はネットの内側の音はしなかった。ブーッという体育館中に響く音が快音をかき消したのだ。ブザービート――三点追加だ。

「ナイス海渡ぉー!」

「ありがと」

 再び称賛を送ってくれた友人に向かって、俺は今度こそ言葉で返事する。けれどどっと溢れてきた疲れに襲われて少しだけその場でよろめいた。その瞬間、違う色のゼッケンを着た副将によって支えられる。

「……わり」

「しっかりしろよ。お前はもうただの点取り屋じゃねぇんだ。主将らしく、足元しっかり固めとけよ」

「あぁ」

 俺はもうひと踏ん張り、とぐっと足に力を込めた。疲れながらも賛辞の言葉や悔しさを表すチームメイトたちに向かって指示する。

「時間きたから、今日はここまで! 明日は午前練だけじゃないから、しっかり休んでこいよ!」

「はい!」

 唱和した全員の声を合図にして片付けが始まる。体育館倉庫にボールを仕舞いながら、俺は充実感と少しの寂しさを感じる。先輩たちが涙ながらに引退していくのを見た後から、あとこのメンバーでどのくらいバスケができるのだろう、と考えるようになった。明日もまだできる。頭ではわかっているのに、あと一年という数字が焦燥感をもたらす。

「勝ちたいなぁ……」

 今年の夏の大会、もし地方大会やその先へとコマを進めていたならば、先輩たちはまだバスケができたはずなのだ。しかしたった一試合の敗北が先輩の夏を奪っていった。仕方ないことなのはわかっている。けれど頭で理解するのと納得は違う。よく姉が言っていた。

 姉の茉莉菜は聡明だ。頭も良い。親が家をよく空ける家庭で、家事も手伝いも率先してやる。姉が受験期に入った今年でこそ俺が買い物に行くようになったが、母の帰りが遅い日の夕食の用意は専ら彼女だ。照れ臭くて直接感謝の言葉は伝えられていないけれど、せめてできるだけ部活に出て、家を自由に使ってもらおうと思っている。そういう点では、俺は今年二年生で良かったと思う。

「海渡、帰ろうぜ」

「あぁ、荷物取ってくる」

 副将の淳に誘われて俺は更衣室のロッカーから薄汚れたナップサックを引っ掴む。そして彼と外に出ようとしたタイミングで声をかけられた。

「おい岩本! ちょっと来てくれるか」

 声の主は顧問の野崎先生だった。砲丸投げ選手を思わせるほどの体つき、よく焦げた肌は強面の顔面と相まって迫力満点だ。しかしながら先輩たちの引退には号泣していた、実に人情味がある先生でもある。俺は淳に「先に行ってくれ」と言うと野崎先生の元に駆け寄った。

「先生、なんで今日こなかったんですか? 急に自主練にしろって言うから、驚きましたよ」

「すまんかったな。大馬鹿者が二人もいてな、そいつらの再教育に忙しかったんだ」

「再教育?」

 多分説教か何かだろうが、この先生に捕まるとは相当運が悪い。この迫力に野太声はもはや反社勢力の恫喝の類だ――とは口が裂けても言えないが、同学年で一番の不良が生徒指導室から泣いて出てきたのは今でも語り継がれる伝説なのだから。

「あぁ。だがそいつら、どうやらお前に用があるらしい」

「俺、ですか?」

「行動に問題はあったが、事情に問題は無さそうだったからな。少し話を聞いてやってくれ」

「はぁ」

 俺は疑問しか残らない説明に曖昧な返事をするが、二つの影が体育館に入って来たことで少しだけ納得する。

「あ、海渡……こんにちは……」

 生気を失ったみたいに縮こまった大馬鹿者とは、どうやら昨日家に来た高校生二人組らしかった。

※――――――――――――――――――――――

「かずにぃ……と、チャラい人。どうしたの?」

 困惑した様子の海渡。室内運動部だけあって肌こそ焼けていないものの、栗色の髪を濡らす汗が激しい練習の痕跡となっていた。

「悪い、押しかける形になって。でもどうしてもお前に話がしたかったんだ」

「昨日はまりねぇに話があるって言ってたじゃん……そいえばまりねぇ、めちゃくちゃ機嫌悪かったよ。何したの」

「そ、そのことも含めて相談なんだ。ちょっと付き合ってくれないか」

 俺は海渡から思いがけないジャブを食らうも、どうにか用件を伝える。訝しげな海渡から了承を得ると、仁王立ちしていた野崎に何度も頭を下げてから学校を出た。その情けない姿を見ていた海渡が呆れ顔で言う。

「ほんと……何したんだよ」

「ちょ、ちょっと色々とね。しかしまさか、あんな恐ろしい先生が赴任してたなんて……警戒対象は後藤先生だけで十分だよ」

「やっと喋ったと思えばそれかよ」

 ここまで押し黙っていた健吾はどうにも野崎のようなタイプは苦手らしい。転びそうになる坂を下る途中、海渡は疑問をぶつけてきた。

「そんで、俺に用事って何? まりねぇとの仲直りなんて自分でしなよ」

「仲直りしようにも、多分今のあいつは会ってもくれないだろ。だから、その手伝いをお前にして欲しいんだ」

 その言葉を聞いた海渡は明らかに不機嫌になる。

「まりねぇは今受験期だよ。忙しいのに迷惑かけるんなら、俺は絶対協力しないからね」

 姉想いのできた弟はそう言い切った。昔は姉を困らせることが仕事のような子どもだったのに、いつの間にやらこんなにも成長している。幼顔は抜けきらずも、落ち着きある雰囲気だ。

「いや、迷惑はかけない。あいつが俺たちの話を聞いてくれさえすれば良いんだ。もしその結果が俺たちの望むものじゃなかったなら、今回限りで諦めるよ」

「……内容くらいは、俺にも聞かせてくれるんだよね?」

「もちろんさ! ファミレスで昼でも食べながらにしよう。あ、大丈夫。お兄さんたちの奢りだからさ」

 渋々といった返事をする彼に健吾が応じる。そして海渡は携帯を取り出すと、切れた電源を入れ直した。

「おや、真面目だねぇ」

「部長の俺が校則破ったら、部活停止されちゃうかもしれないでしょ」

ごく自然に言っている様子が、あの生真面目な茉莉菜の弟ということを強く実感させる。俺が中学生だった当時は携帯電話を持っている生徒は半分くらいで、中でも文学部は誰も持っていないというちょっと稀有なグループだった。だからこそ学校での繋がりがより深かったとも言える。

「部長の鏡だね……誰かさんとは大違いだ」

「部長は茉莉菜だったろ。俺じゃない」

 そんな言い訳を立ててみるが、昔の校則破りたがりな頃の俺を知る健吾はにやにやと笑っている。今にして思えば無駄極まりないカロリーの消費だが、馬鹿をやる楽しさは当時の勉強のフラストレーションを解消してくれたものだ。何度かのフリックの後、海渡はスマホの画面を暗転してポケットに突っ込む。

「とりあえず、まりねぇには午後まで練習が長引きそうってメールしといたから」

「すまん、助かる」

「賢いなぁ。岩本さんの弟さんって言われたら、まぁ納得なんだけど」

 殆ど初対面の健吾がそう思うのは当然だが、昔を知る俺からしても海渡は随分良い子に育ったようである。俺と茉莉菜が遊ぶ時は宿題そっちのけで付いて来たがるようなやんちゃな子どもだったが、それが十四歳にしてこの物分りの良さ。時の流れとは本当に恐ろしい。


 俺たちは娯楽の少ない地元に存在する全国チェーンのファミレスへと入る。健吾が慣れた様子で店員との応答を済ませると、高校生組は海渡と向かい合うように着席した。

「じゃあ一通りメニュー決めちゃおうか」

「あ、すみません。俺、弁当あるんで」

 そう言った海渡はナップサックから二段重ねの弁当箱を取り出した。ファミレスに食事持参とはいかがなものかと思ったが、海渡なりの理由を聞いて納得する。

「朝、まりねぇが用意してくれたんだ。手つかずだったら心配されるでしょ」

「へぇ! 岩本さんの手作りかぁ。食べてみたいね、一晴」

「いちいち俺に振るな……!」

 メニューから視線を外し、からかうように言う健吾を睨む。確かにあの頃は好意を抱いていた相手だが、だからといって今でも同じ感情を抱いているかと言われれば別だ。大体、当時茉莉菜が好きだったのはお前だ――という言葉は、この場を了承してくれた海渡のためにぐっと堪える。

「……まりねぇさ。さっきも言ったけど、受験で忙しいんだよ」

 海渡は弁当箱を開きながら話し出した。手作りと思しきハンバーグや卵焼き。彩りのために添えられた野菜など、栄養や見た目にも気を遣っていることが垣間見える。とは言え、量は成長期の男子中学生が喜びそうな大盛り仕様だ。自分が忙しい中で、茉莉菜が弟をどれだけ大切にしているかが伝わってくる。男勝りな性格ではあっても意外とマメなところは昔と変わっていない。

「国立行きたいとかで、去年から家に居る時は殆ど自分の部屋に入り浸って頑張ってる……頑張ってるの知ってるから、邪魔になるんなら手伝いはできないし、会わせない。俺、そういうつもりだからね。かずにぃ」

 小学生の頃しか知らない男の子は、随分と鋭い眼差しを身につけていた。体格は全然異なるのに、どうしてかあの野崎という教師を彷彿とさせる。昔の情だけでは絶対に動かないという確固たる意思を持った双眸がそこにあった。

「うーん。姉弟そこまで仲が良いっていうのは、一人っ子としては羨ましい限りだなぁ」

「茶化すな」

 おどける様子を崩さない健吾をぴしゃりと一喝する。ここにいるのは茉莉菜の後ろを付いてくるだけだった少年ではない。一人の男が家族のことを考えて発言しているのだ。だから俺たちも、彼をただ茉莉菜の弟として見るべきではない。少なくとも、俺はそういう認識にさせられている。

「もちろん、わかってる。でも俺たちは自分たちの目的だけじゃない。茉莉菜のために必要なことだと、思ってる」

「まりねぇに?」

 わからない、という表情を作る彼にするべき説明を考える。ただしあの頃のことを彼が知らない可能性がある以上、茉莉菜が彼に言いたくなさそうなことは避けなければならない。何を伝え、何を隠すべきか。物語を書くのと同じように選別し、言葉を選ぶ。

「俺とこのチャラ男、そんで茉莉菜ともう一人。俺たちは中学のとき同じ部活だったんだ」

「文学部、だっけ?」

「そうだ」

 当時の茉莉菜の性格を思うに、家族に対して話題は結構提供するタイプだと思う。ただしそれは明るい話題に限り、あえて暗い話を持ち出しはしないだろう。ならば俺が話すべきは『最低限度の暗い話』である。

「それでそのもう一人の子……鈴涼って言うんだけど、その子が階段から落ちて、意識不明になった」

「えっ」

 海渡の反応に、やはりあの時のことは話していないのだと確信する。だとすると、その後の文学部の成り行きだって知らないはずだ。俺は俺が壊してしまった大切なものを思い浮かべ、いつかみたいに心が苦しくなる。それでも、俺を誰かと問うた今の鈴涼の表情を思い出して、思考回路をひたすら回す。

「それで――!」

「一晴」

 突然、隣に座る健吾に呼び止められた。何の用かと横を向くと、冷静な目でこちらをじっと見つめる彼に言われた。

「顔、怖いよ」

「――あぁ。あぁ、悪い」

 健吾のその一言で少しだけ間を空ける。鈴涼の観察眼を羨ましいと評した彼は、俺からすれば十分に人のことを良く見ている。俺は心の中だけで彼に感謝すると、深呼吸をしてから話の続きを始めた。

「それで、その鈴涼がつい最近目を覚ましたんだ……だけど、今度は記憶喪失だってことが発覚した」

「……」

 海渡は何と言葉をかけて良いかわからないのだろう。口を少しだけ開きかけて、強く閉じた。しかしそれで良かった。多くを教え過ぎることで茉莉菜の反感を買ってしまえば元も子もないのだ。

「俺たちは鈴涼の記憶を取り戻す手伝いがしたいと思ってる。それには茉莉菜の協力も欲しいんだ」

「……まりねぇとその人は、仲良かったの?」

「岩本さんと最上さん――あ、記憶喪失の子ね。二人は女子同士結構仲良かったんじゃないかな。少なくともオレらにはそう見えていたよ」

 海渡の質問に健吾が答える。しかしその答えを聞いた海渡の中では、さらに疑問を増やすだけだったようだ。

「じゃあかずにぃ達は昨日、その人のことでまりねぇに相談しに来たってこと?」

「あぁ、そうだ」

「なら、なんでまりねぇは協力するって言わなかったの? まりねぇなら多分、そんな大事なこと断らないと思うんだけど」

 それに関しては俺たちも議論を繰り返した。そしてある一つの推論に至ったが、確たる証拠は何も無い。無責任なことを海渡に言う訳にもいかず、俺は正直に答える。

「その辺りは本人に直接聞かないと何とも言えない。その理由も含めて、俺たちはあいつと話さなきゃならないんだ」

「……それが、まりねぇに必要なことってやつ?」

 俺は四度目の彼の質問に大きな頷きで返す。やはり弟から見ても、茉莉菜は責任感の強い少女なのだ。彼女と鈴涼はクラス間を超えて仲が良かったし、休みの日には一緒に出掛けたという話もしていた。茉莉菜が鈴涼を見捨てるというのは、どうにも彼女には似合わな過ぎる。その少女がそもそもこの三年間、どうして友人の見舞い一つしなかったのか。そこには必ず、彼女の根本を突いた理由があるはずなのだ。

「茉莉菜のことも鈴涼のことも、俺たちには関係ないって言われることかもしれない。でも、俺の中じゃそうじゃないんだ。鈴涼にも茉莉菜にもするべき償いがある。鬱陶しい偽善でも、あの頃で止まった全員の時間を動かしてやることが、俺のできる唯一の償いなんだ」

「……」

 茉莉菜が鈴涼に会わない理由――それは彼女もまた、あの頃の文学部の中で立ち止まっているからだ。当時の感情が今でも尾を引いて、彼女の一歩を踏みとどまらせている。そのことは、そのことだけは、俺でもあの複雑な想いの絡まった表情から探し出すことができた。茉莉菜は決して、鈴涼に会えないことを納得していない。

「わかった。何協力したら良いの?」

 少年のいきなりの言葉に俺は少々面食らった。隣の健吾が本調子なら『鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔してるよ』とでも言われたのだろうが、当の本人もそうなってしまっている。

「い、良いのか。そんなすんなり」

「良いよ。だってかずにぃ、本気だし」

 俺はすぐに海渡に感謝を告げた。すると彼は天井を見上げるような仕草をすると、ぽつりと言った。

「本気のかずにぃが格好良いって、こういうことか……」

「え?」

「なんでもないよ」

 何やら俺のことを言っていたようだが、彼の真意は掴めなかった。隣に座る健吾がなぜかいつもの調子でニヤニヤしているのが気に食わなかったが、俺は改めて海渡にするべき礼を尽くす。

「ありがとう、海渡。俺が茉莉菜に会ったら、お前は頼まれただけってちゃんと言っておくよ」

「……一体何をさせるつもりなの? その言い方、随分とろくなことじゃないと思うんだけど」

「その説明については発案者であるオレから言わせていただくよ。海渡くんに頼みたいのはたった一つ。どうにかしてこれを岩本さんに見せてあげることさ」

 そう言った健吾が取り出したのはCDケースに入れられた一枚の真っ白なディスクだ。それを見た海渡は怪訝な表情をつくるだけで、どういったものなのかはとても理解できないだろう。「これは?」という海渡の当然の疑問を聞いて、ネックレスを揺らしたチャラ男は得意顔をして見せた。

「文学部処方――荒療治薬さ」

「あら……?」

 無駄に海渡を困惑させて楽しんでいる節がある友人の爪先を蹴ってやると、俺は説明を引き継いだ。

「要はこのDVDが、茉莉菜を俺たちの前に引っ張り出すキーアイテムってところだ」

「こんなDVD一枚で?」

 中にあるのは、ものの十数分程度の映像だ。健吾がどうにか編集したが、完成したのは鈴涼の映る瞬間を切り貼りしただけのもの。誰かの心を動かすには、いささか力不足としか言いようがない。ただし、もしも茉莉菜が俺たちに少しでも『脈アリ』ならば、彼女は必ずその映像を看過できないはずだ。

「中には鈴涼の『今』を伝える映像が入ってる。俺たちはお前の家の前で待機しておくから、茉莉菜がその映像を見たらメッセージで教えて欲しい。そのタイミングでインターホンを鳴らして、茉莉菜を呼び出す」

「そこからは?」

「そこからは、俺が説得する」

 後藤先生が言った、俺だけが説得せよというアドバイス。あの意味も結局わからずじまいであるが、健吾が強く助長するのでその選択をすることになった。昨日のことで気が重いのは間違いないが、俺は俺なりの誠意で彼女にぶつかるしかない。

 海渡は少し考える様子を見せてから、何度か下と俺を交互に見やって、やがて言った。

「わかった。でも、作戦は明後日にしてね。次の部活の休み、そこだから」

 頼もしい返事に俺と健吾は揃って感謝を言った。決行は二日後。再戦のゴングを緊張して待つこととなった。そして――
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