第九話 「城塞都市サンドリオ」01

文字数 1,043文字

 デス・キャニオンでの報酬は中に入った戦闘種たちは歩合だが、封鎖への参加は日当だった。
 つまり最終日に封鎖が破られた時のレアクリスタルは全てギルドが回収した。
 ただし、上位以上のポイントが加算されるベヒモスの討伐は、ランキングに反映され報酬も支払われる。
 シュンが最後に倒した、蟻の六本足を持つミルメコレオ。普通級、体長五メートル程度のフェルテと一つ目のカトブレパスの三体のベヒモスだ。
 
 怪我をした戦闘種たちにはギルドから見舞金が支払われた。
 
 ランツィアが持ち込んだ盾と槍はかなりの損害を受けたが、修理費はギルドが持つとの事で、指定の工房に出されている。
 
 封鎖は計三カ所が破られていた。
 他でも死者も出たらしいがギルドからの正式発表はなかった。
 
 結局、シュンたちは観覧場所での戦いもなかった。
 ずいぶんなおとり任務だった訳だ。
 
 昨日と今日は休み、そして明日は調子の良い者だけ出勤とした。
 封鎖部隊は消耗していて寝込むメンバーが続出していた。
 ベヒモスの大群に追われ、彼らは持てるスキルを全て絞り出して戦っていたのだ。
 トータルとしてランツィアの収支は、そこそこの稼ぎになっていた。


 シュンは一人自室でデス・キャニオンでの出来事など、これからの事などを考えていた。
 夕刻、扉がノックされアルバーが顔を出す。

2017/12/04 16:35
「どうしたんだ?」
2017/12/04 16:35
「いえ……、外に住んでいるメンバーの所を回ってきました」
2017/12/04 16:35
「そうか、悪かったな。様子はどうだった?」
2017/12/04 16:36
 この建物の宿舎に住んでいるのは入りたての新人で、それ以外は外に宿を借りている。
2017/12/04 16:36
「だいたい回復しています。ただ明日はどれほど出てこれるか……、怪我をした連中は打身や捻挫程度ですが、もう少しかかります」
2017/12/04 16:36
 スカーレッドの怪我人も幸いに、その程度で済んでいた。
2017/12/04 16:37
「仕方ないな。俺だってスケラーノを殺(や)った後は三日休んだ」
2017/12/04 16:37
「カノーアの所にも見舞いに行ったのですが……」
2017/12/04 17:04
「そうか、もう意識はしっかりしているようだがなあ。レイキュアが言ってたよ」
2017/12/04 17:05
「会わせてもらえませんでしたよ。彼女も負傷していますから。打撲ですけど」
2017/12/04 17:05
 アルバーは少し残念そうに言う。カノーアは三階の宿舎に寝かされているのだ。
2017/12/04 17:05
「あそこの二階から上は男子禁制の女の園だからなあ……」
2017/12/04 17:05
「あちらもずいぶん寝込んでいるようですね」
2017/12/04 17:10
「そうか……、フィオーレに飲みに行くか。付き合えよ?」
2017/12/04 17:10
「はい」
2017/12/04 17:11
 シュンは椅子に掛けていた上着を掴んで立ち上がる。
 店を手伝っているスカーレッドの隊員に状況を聞いてみようと思った。
2017/12/04 17:11
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登場人物紹介

シュン/主人公の若者。チーム・ランツィアのリーダー。北城塞グロッセナでランキングトップ、最強の称号を手に入れた。

マヤ/シュンの恋人。同じ孤児院で幼い頃からシュンと共に過ごしていた。

アルバー/ランツィアのサブリーダー。商家の出で戦うが経理、総務的な仕事もこなす。

ブレイソン/ランツィアのサブリーダー。天才肌、軍人の家系に反発して家を出た。スキルと強さを求めている。

レイキュア/チーム・スカーレッドの隊長。女ばかりのチームを率いる女傑。シュンが街に来た頃からの知り合い。

カノーア/スカーレッドの副隊長。雷撃の才能がある。涙もろい。

ジェンヌ/チーム・バウザーナでリーダー格の将軍を自称。父親は大企業の経営者。最強称号への執念を見せる。シュンをライバル視しているが……。

リスティ/子供ばかりの四人でチームを作っている。

セバスティ/チーム・エスプロジオーネの頭(ヘッド)。

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