文字数 828文字

 どうやらサラマンダーは、マコの〈使い魔〉に対する扱いが粗い事に怒って逃げたようでした。
 まだまだ未熟なマコが強力な魔法を発揮するには〈使い魔〉の力を借りなければ半人前程度です。
 そして、精霊達もマコを慕えばこそ献身的に尽くしてきました。
 けれども、次第に他人から心を閉ざすようになったマコは、いつしか〝相手を思いやる気持ち〟を忘れてしまい、知らず知らずの内に〈使い魔〉達をも道具のように酷使する姿勢になっていったのです。
 そんなマコの在り方に抗議して、サラマンダーは『友達がいなくなる虚しさ』を思い知らせる事件を起こしていたようでした。
「ごめんね……これからは〈友達〉として大事にするから」──謝罪の心を噛み締めるマコ。

 こうして無事に大団円……と思いきや、優芽は大きな問題を思い起こしました!

 優芽の『秘密』は、マコに知られてしまったではありませんか!
 妖精のみんなとお別れ……そんなのはイヤ!
 そして、それは妖精達にしても同じです!
 悲しむみんなの前に現れる〈妖精女王ティターニア〉……いよいよ別れの裁決が告げられる。
 そう思った時、居合わせたマコが口を開きました。
「私は〈魔女〉だもの……普通の〝人間〟じゃないから知られても問題ないはずよ」
 髪を鋤いてクールに立ち去るマコに、妖精女王は優しい苦笑を浮かべます。
「優芽、これからも妖精達と〈友達〉でいて下さいね」
 妖精女王からの許しを得て、みんな大喜びです。


 こうして、また〝日常〟が始まります。
 誰も知らない〝ふしぎ〟が隠れる日常です。
 そして、優芽には〝新しい友達〟も出来ました。
「マコちゃん! おはよう!」
 明るい笑顔で手を引く優芽と、ペースに巻き込まれて戸惑うマコ。
 登校に駆ける二人の後ろ姿を、爽やかな薫風が祝福しました。


 もしかしたら、あなたの町にも〝ふしぎ〟がいるかもしれません。
 そして、あなたにも〈友達〉が見えるかもしれませんよ?
 ほら、その〈風〉は、もしかしたら……。



[おしまい]
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