そのに
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そう言って玲は僕を抱えて走り出した。このまま僕の足で走っていたところで遅刻確定だったから正直助かったかもしれない。
こいつ、僕を背負って走ってるのに汗一つかいてないし……超人なの?女みたいな見た目だけどちゃんと骨格は男だし、鍛えているのかもしれない。
自分の脆弱な身体を思うと、嫌いだけどちょっとだけこいつに憧れる。
キーンコーンカーンコーン
彼は玲と同じ家系で血筋である准兄さん。学園で風紀委員長をしている。
准兄さんは家では女の子を連れ込んで遊んでいるくせに学園では真面目で、取り締まれる存在であるのに風紀委員長なんぞをしている。女装をしている自分を取り締まったほうがいい。
准兄さんは遅刻のところに〇をつけることを止め、去って行った。
背中が寂しそうである。
兄さんを黙らせるには会長のネタを振るのが効くということは僕も理解した。