第82話 AAパートナーズの提案:2024年1月

文字数 1,004文字

(T商事の筆頭株主であるAAパートナーズから、提案書が届く)
2024年1月。東京。T商事。役員会議室。
2024年、T商事の重役会議は、ものをいう株主のAAパートナーズの組織改善提案に紛糾した。
社長の杉川は、重い口を開いた。
「これから、会議を始める。
本日、当社の最大の株主であるAAパートナーズから、経営改善要求がきた。
本日の議題は、この要求に対する対処方針だ。
まず、要求書を開いてみてほしい」
要求書の要点は以下だ。
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貴社の現在の経営におけるIT化の遅れ、優秀な人材の登用の遅れは、目に余るものがある。
この状態が続くと、貴社の経営が、急速に悪化し、株価が更に急落する可能性が高い。
AAパートナーズは、この問題の鋭意検討を進めた結果、以下の「ゼロリセット計画」による経営改善を求めて、株価の回復を目指すことにした。

ゼロリセット計画

優秀な人材の登用を阻んでいる年功型雇用は、3か月以内に中止すること。そのためには、全役員と全従業員は、いったん、それまで積み立てた退職金に相当する年功賃金調整金を支払って、退職する。その後、ジョブ型契約に基づき再雇用する。つまり、一瞬であるが、社内に、人が誰もいない真空状態を作る。これが、「ゼロリセット計画」の名称の由来である。

再雇用の条件は、ジョブ型の業務で、業績主義で、解雇もありうることを明示すること。

IT化による業務の合理化をはかり、新組織の役職は、3段階以下にとどめること。
組織の組み換えは、3か月以内に行い、その間の組織マネジメントは、タスクフォースが実権をもつこと。

このタスクフォースには、AAパートナーズの役員を入れること。

このタスクフォースは、DX計画も立案する。そのために、AAパートナーズが推薦するIT経営システムの専門家チームをタスクフォースに参加させること。

経営改善計画は、株価の急落を押さえるものでなければならない。そのためには、14日以内に、この要求書に沿った改善計画の受け入れの有無をAAパートナーズに提出し、了解を得たうえで、早急にマスコミ発表をすること。
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