95話 彦星
文字数 267文字
二条の后に、仕えている男がいた。
同じく后に仕えている女を、
いつも気にとめて、言い寄っていた。
男は、
「なんとか、簾 越しにでも会って、話して、
もやもやと思いつめた心を、すこしはすっきりさせたい」
と言った。
女は、人目をさけ、こっそりと、もの越しに男と会った。
話などしたあと、男は、
空の彦星より 恋心が つのっています
天の川をさえぎる この簾を もう取り払ってください
この歌に心惹かれ、女は男に逢った。
*
彦星に 恋は まさりぬ
天の河 へだつる関を 今は やめてよ
同じく后に仕えている女を、
いつも気にとめて、言い寄っていた。
男は、
「なんとか、
もやもやと思いつめた心を、すこしはすっきりさせたい」
と言った。
女は、人目をさけ、こっそりと、もの越しに男と会った。
話などしたあと、男は、
空の彦星より 恋心が つのっています
天の川をさえぎる この簾を もう取り払ってください
この歌に心惹かれ、女は男に逢った。
*
彦星に 恋は まさりぬ
天の河 へだつる関を 今は やめてよ