第3話
文字数 993文字
入院した への字口のおばあちゃんは朝起きて薬を飲み静かに寝ているだけでした。
息子達が孫を連れて見舞いに来てくれますが、
口はへの字に曲がったままです。
見ているのは、病室の天井と病院の中庭の花畑だけです。よく手入れされた花畑には花がたくさん咲いていました。
毎日その花畑を2階の窓際のベッドから眺めていたのです。
その花畑を手入れしているのは、背筋が伸びた
白髪のおじいちゃんです。
おじいちゃんは毎日花畑に来ていました。
土の乾き具合を見たり、雑草を抜いたり、枯れた花の摘み取りをしたり、花壇の周りの掃除を楽しそうにしていました。
声をかけてくれた人と花の話で盛り上がり、大きな笑い声も聞こえてきたりしました。
おばあちゃんが驚いたのは、おじいちゃんが花に話しかけているのを聞いた時です。綺麗に咲いたなーとか、今日は元気そうだとか。水が足りないかなとか。
花に話しかけるなんて、おかしなじいさんだと思い、への字口がキュとしました。
そんなおじいちゃんをおばあちゃんは毎日見続けていました、、、
どうして、家の畑の花は咲かなかったんだろう。
息子達が家を出て行って悲しかった、煮えくりかえるほど腹もたった、そんな気持ちに縛られたくなくて作った畑だったのに。
野菜では何か物足りなくて、花を咲かせたいと思ったのに。
種を蒔けば花は咲くものだと思っていた。
けど、花は咲かなかった。
1年目は初めて尽くしの失敗かと思い、
2年目は天候のせいかと思い、
3年目は種を植えるタイミングが悪かったのか、何か他に原因があるのかいろいろ考えた。
でも4年目には咲かない花に怒りを感じていた。
いや、怒りを感じでいたのは、ずっと前からかもしれない。
咲かない花だけじゃなく、ずっとずっと怒っていたんだ。
何もかも思うようにならない、自分の気持ちなんか解ってくれない。
あれこれうるさい事を言うばかり、
こんな気持ちを誰1人解ってくれないと、
私はずっとずっと怒っていた。
そんな気持ちを抱えながら、咲かない憎い花の種を蒔いてきたのだ。
なぜ咲かない?どうして咲かない?なんで?どうしてだ!と
そうしていたら、30年があっという間に過ぎてしまった。
体も動かなくなった、年老いた ばあさんの人生はなんだったんだろうねと、への字口のおばあちゃんは曇った空を眺めながら思っていました。
への字口のおばあちゃんの30年の年月は悔しさと怒りだけで過ぎてきてしまったようです。
息子達が孫を連れて見舞いに来てくれますが、
口はへの字に曲がったままです。
見ているのは、病室の天井と病院の中庭の花畑だけです。よく手入れされた花畑には花がたくさん咲いていました。
毎日その花畑を2階の窓際のベッドから眺めていたのです。
その花畑を手入れしているのは、背筋が伸びた
白髪のおじいちゃんです。
おじいちゃんは毎日花畑に来ていました。
土の乾き具合を見たり、雑草を抜いたり、枯れた花の摘み取りをしたり、花壇の周りの掃除を楽しそうにしていました。
声をかけてくれた人と花の話で盛り上がり、大きな笑い声も聞こえてきたりしました。
おばあちゃんが驚いたのは、おじいちゃんが花に話しかけているのを聞いた時です。綺麗に咲いたなーとか、今日は元気そうだとか。水が足りないかなとか。
花に話しかけるなんて、おかしなじいさんだと思い、への字口がキュとしました。
そんなおじいちゃんをおばあちゃんは毎日見続けていました、、、
どうして、家の畑の花は咲かなかったんだろう。
息子達が家を出て行って悲しかった、煮えくりかえるほど腹もたった、そんな気持ちに縛られたくなくて作った畑だったのに。
野菜では何か物足りなくて、花を咲かせたいと思ったのに。
種を蒔けば花は咲くものだと思っていた。
けど、花は咲かなかった。
1年目は初めて尽くしの失敗かと思い、
2年目は天候のせいかと思い、
3年目は種を植えるタイミングが悪かったのか、何か他に原因があるのかいろいろ考えた。
でも4年目には咲かない花に怒りを感じていた。
いや、怒りを感じでいたのは、ずっと前からかもしれない。
咲かない花だけじゃなく、ずっとずっと怒っていたんだ。
何もかも思うようにならない、自分の気持ちなんか解ってくれない。
あれこれうるさい事を言うばかり、
こんな気持ちを誰1人解ってくれないと、
私はずっとずっと怒っていた。
そんな気持ちを抱えながら、咲かない憎い花の種を蒔いてきたのだ。
なぜ咲かない?どうして咲かない?なんで?どうしてだ!と
そうしていたら、30年があっという間に過ぎてしまった。
体も動かなくなった、年老いた ばあさんの人生はなんだったんだろうねと、への字口のおばあちゃんは曇った空を眺めながら思っていました。
への字口のおばあちゃんの30年の年月は悔しさと怒りだけで過ぎてきてしまったようです。
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