第12話【呼吸がままならないの】

文字数 1,094文字

 ん? 私、今どこにいるのかしら? ……それに、何なのよ、この固いベッド。えぇと、あなたはひょっとしてお医者さん? 私に麻酔でも打ったのかしら? 体が言うこと聞かないわ。それに、どうしちゃったんでしょう、呼吸がままならないの。苦しいわ。ねぇ、あなた、突っ立ってないで助けなさいよ。目の前でレディが……えぇ、そうよ、自分でレディって言っちゃったわよ! そんなことはいいの。レディがこんなに苦しんでるのに、よくもまぁ、平気でいられるわね。ねぇ、聞いてる? どうしたの? 無視するつもり? 私の声、聞こえてる? ちょっと、いい加減に……アレ? あぁ、どうしましょう、もしかして私、喋れてないのかしら。声が出ていないようね。あぁ、苦しいわ。まさか、私、このまま死んじゃうのかしら? そんなの嫌だわ。あなた、助けてくれるんでしょ?

 ちょ、ちょっと、あなた! そんな物持ち出して、何しようと……ま、ま、まさか! えっ⁉︎ い、いきなり手術始めるつもりじゃ……きゃーっ! や、やめてぇー! まだ麻酔が効いてないのよ! あなた、それでも医者なの? あれ? 今、グサって刺したでしょ? なんか身体がスーッとするんだけど、え? 切ったの? いつの間に? 痛いっ! 痛いんだけど! やめてお願い! 本当に麻酔打ったの? もっと優しく出来ないの? 乱暴過ぎるわ。だから、痛いんだってば、この若造! ヘタクソ! ヤブ医者! 殺すつもり? あなた、本当に医者なの? なんか、余計に酷くなったじゃないの! もぉ、どうしてくれるのよ、体中が痛いわ。それに、息も出来ない……

 な、何よ? 今度はどうするつもり? こんな窮屈なストレッチャーに乗せて、何処に連れて行くの? せめて、もっと楽な姿勢で寝かせなさいよ! 私、患者でしょ? それに、何なのよ、このシーツ。モゾモゾして寝心地が悪過ぎる! あとさぁ、この山型に盛ってる黄緑色の泥みたいなの、キモいんだけど! ツンとする刺激臭も、耐えられないんだけど! あぁ、もう絶望的……こんな時におかしいね、なんだか眠たくなってきたわ。今頃、麻酔が効いてきたのかしら? それとも……もう、私、助からないのね? 死ぬんでしょ? こういう時って、本当に過去の記憶が蘇るものなのね……あの頃は楽しかったなぁ。もう痛みも何も、感じなくなってきたわ……あの頃かぁ……そうねぇ、また海で泳ぎたいなぁ……でも、もう、エラから上手く酸素が取り込めないの。ここまでのようね、意識が遠のいていくのが分かるわ……
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