第35話<Same World> Hades (冥界)
文字数 743文字
「どうだった? あの二人は」
サオリとアイゼンが去った後で、ヤマは司禄と司命にたずねた。
「はい。藤原愛染は大人物ですね。日本人ではカトゥー、ヤマナカ以来の潜在能力を秘めているようにみえました。きっとKOKにも入団できるでしょう」
「うむ。我もそう思う。加藤沙織はどうだ?」
「十年前のエニグマからアルカディアを救った女王陛下のお友達ですよね。会えることを楽しみにしておりましたが、思ったよりも子供で驚きました。あれではKOKに入るのは難しいのではないでしょうか? もし入れても、何年間かは修行をしなくてはならないと思います」
「確かに」
ヤマはうなづいた後にしばらく沈黙し、再び、分厚い垂れ下がった唇を上下に開いた。
「だがなぜか、我はあいつの父であるカトゥー以来のワクワク感が止まらんのだ」
「まぁ…」
司禄は驚いた表情を浮かべて何と言っていいのかわからない。司命はかろうじてヤマの言葉をフォローした。
「な、なんといっても女王陛下のお友達ですからね。我らが女王陛下の目に狂いがないことを信じましょう」
「うむ。あいつがピンチになった時は、公務を投げ打ってでも我はあいつの手助けをしてやりたい。それがカトゥーへの手向けにもなる気がする」
ヤマは遠い目をしてカトゥーのことを思い出していた。
有名人の娘の入国審査を見に来ていたミーハーな観客達は帰っていき、今では半分ほどしかいない。しばらく同じように沈黙を保っていた司命が、そっとヤマに声をかけた。
「その時が来たら、その時に考えましょう。それよりも次の方がもう長いこと待っております」
ヤマはゆっくりと背筋を伸ばして司命を見下ろした。
「うむ。そうだな。よし。次の者を呼べい」
「かしこまりましてございます」
ヤマとその眷属たちは、再び通常業務に戻った。
サオリとアイゼンが去った後で、ヤマは司禄と司命にたずねた。
「はい。藤原愛染は大人物ですね。日本人ではカトゥー、ヤマナカ以来の潜在能力を秘めているようにみえました。きっとKOKにも入団できるでしょう」
「うむ。我もそう思う。加藤沙織はどうだ?」
「十年前のエニグマからアルカディアを救った女王陛下のお友達ですよね。会えることを楽しみにしておりましたが、思ったよりも子供で驚きました。あれではKOKに入るのは難しいのではないでしょうか? もし入れても、何年間かは修行をしなくてはならないと思います」
「確かに」
ヤマはうなづいた後にしばらく沈黙し、再び、分厚い垂れ下がった唇を上下に開いた。
「だがなぜか、我はあいつの父であるカトゥー以来のワクワク感が止まらんのだ」
「まぁ…」
司禄は驚いた表情を浮かべて何と言っていいのかわからない。司命はかろうじてヤマの言葉をフォローした。
「な、なんといっても女王陛下のお友達ですからね。我らが女王陛下の目に狂いがないことを信じましょう」
「うむ。あいつがピンチになった時は、公務を投げ打ってでも我はあいつの手助けをしてやりたい。それがカトゥーへの手向けにもなる気がする」
ヤマは遠い目をしてカトゥーのことを思い出していた。
有名人の娘の入国審査を見に来ていたミーハーな観客達は帰っていき、今では半分ほどしかいない。しばらく同じように沈黙を保っていた司命が、そっとヤマに声をかけた。
「その時が来たら、その時に考えましょう。それよりも次の方がもう長いこと待っております」
ヤマはゆっくりと背筋を伸ばして司命を見下ろした。
「うむ。そうだな。よし。次の者を呼べい」
「かしこまりましてございます」
ヤマとその眷属たちは、再び通常業務に戻った。