第65話  黒澤 凛  2

文字数 2,325文字

 


 ※



 聖奈お姉ちゃんが言ってくれた。

 苛められたら、必死で抵抗しろって。

 何も考えなくていい。ぶっ飛ばせって。


 それが出来ればいいんだけど……僕には出来ない。


 あと、苛められたら人の目は気にしなくていい。むしろ大袈裟にして先生に伝えた方がいいと。先生が見て、見て見ぬフリをするなら、私に言ってきなさいって、そう言ってくれた。



 それなら僕にも出来ると思った。




 だけど……教室ではそんなイジめられたりしない。
 僕を馬鹿にした言葉は言ってくるけど、絡んでこなかった。
 


 先生の目を気にする奴は大したことがない。
 これも聖奈お姉ちゃんが言ってくれた。


 ただしそんな事もお構いなしにやってくるのが、一番ウザイって言ってたけど、あの三人は大丈夫そうだ。
 先生の目を気にしてるのかもしれないと思うと、ちょっと気が楽になった。



 そして僕のクラスにはもう一人、イジめられてる男の子がいる。今日はそっちに夢中らしくて、休憩時間に名谷や魚住に頭を叩かれたりしている。それを見てクラスの人間はクスクスと笑ってる。


あんな事をして、何が楽しいんだ……


 僕よりも酷い扱いを受けてるのは、六角君だ。
 背もちっちゃくて、僕よりも低い。ちなみに背の順だと僕が二番目。六角君は一番前だ。


 彼は転校してきた初日から、みんなにからかわれているのを見たけど、最近は特に酷い。女の子にまで馬鹿にされながら、それでも学校に来るのは凄いと思う。


 六角君もきっと、苛められても学校に来る強い理由があるのかなって思った。

 本当は喋りたいけども、今の僕には……見て見ぬふりしかできなかった。

【赤木】

おい黒澤。昨日のスマホどうなったんだよ

 赤木だ。僕よりも一回り大きくて、クラスでも一番高い。
 机に座って下を向いてる僕に喋りかけてくると、教壇の横にある机には先生が座っていた。


 睨み返してやると、赤木は「何だよその目は」と大声を出してきた。

 当然僕はすぐにビビってしまったけど、その時先生がこちらを向いた。


ん? 何やってる

 先生がこう言うだけで、赤木は僕を睨みつけながら、僕の傍から離れた。


 よし。何とかできる。僕はそう思った。
 急に殴ってきても……殴り返してやる。ずっと僕は戦闘できるように心構えをしていた。



 ※


 学校での生活。僕は七時間しか男でいられない。

 大体午後二時半から三時頃にリミットの頭痛が来る。


 学校が終わるのが四時前だから、大抵帰る頃には一時間オーバーしてる。

 あと一時間。この間に絶対に家に帰らないといけない。


 今日は八時ギリギリまで華凛だったから、もうちょっと大丈夫みたい。いつもよりも頭が痛くなかった。


 さようならとクラスのみんなが礼をすると、僕は下を向きながらすぐに教室を出る。

 これはいつもそうだった。



 真っ先に帰らないと……


 その時、後ろから例の三人組が付いてくるので、僕が足早になると、同じように追いかけてきた。
 校門を潜った所で僕は走り出すと、後ろから追いかけてくる。


【魚住】

おい! 今日も遊ぼうぜっ!

【赤木】

待てよ黒澤! お前さっきガンくれただろ? 生意気なんだよ!

 逃げろ。三人相手じゃ絶対勝てない。
 そもそも一対一でも……勝てる気がしない。
うわっ!

 急いで曲がり角を曲がると、僕は人とぶつかってしまい、勢いで後ろに倒れてしまう。

 しまった。と思っても遅かった。


 三人組に追いつかれた僕は、観念して握り拳を作ったその時――

 そのぶつかった人の髪の色を見て、とても驚いていた。

あ~ら。凛ちゃん。そんなに急いでど~したの?
 白竹ママだ!
 ママはすぐに僕を引き寄せると、僕に追いついた三人組は何も言わなかった。
あなたたちはお友達? おいかけっこしてたの? それとも……いじめっこ?
え?

もし、いじめっ子さんなら。殺すわよ。殺してあげるわよ。

ゆっくりとなぶり殺しにしてあげるわよっ。私は子供でも容赦しないわよっ

 一瞬誰が言ったのか分からなかったけど、今のは白竹ママの声だった。

 それを聞いた三人はすぐに逃げてしまう。

り~んちゃん。ママと一緒に帰ろう。おんぶしてあげる
ええっ? それは……恥ずかしいよ

 おんぶはしなかったけど、ママと手を繋いで一緒に家まで送ってくれた。

 家の前まで来ると、ママに手を振ってちゃんと「ありがとう」と言った。

凛ちゃん。大丈夫だからね。ママがいるわ

 え?


 そう言って白竹さんのママはクルクル回りながら、行ってしまった。

 もしかして、ママも僕がイジメに遭ってる事を知ってるかもしれない。




 とりあえず。助かったのは助かったけど……
 今日あんなに追いかけてきたから、明日はもっと大変になるかもしれない。


 もしバトルになったら、やってやる。
 勝っても負けてもいい。全力で反抗するんだ!

 聖奈お姉ちゃんに言われた事をすれば、きっと大丈夫だ。
 そう思うと、自分でも出来るんじゃないかって気持ちになれる。 



 家に帰ってお兄ちゃんの帰りを待ってると、玄関のドアが開く音がする。僕はすぐに玄関へ走った。
お兄ちゃん! おかえり!
おっ! ただいま!
どうだった? が、が、学校でちゃんとやってるか?
うん! 全然大丈夫だよ
そ、そっか……そーだよな

 笑顔を見せてくれるお兄ちゃん。

 僕はお兄ちゃんが笑ってるのを見ると……凄く安心するんだ。 

すまん。今日もバイトだから、ちょと横になるぞ。

どうする? 今日は喫茶店に行くか?

ううん。いいよ。

ももまろの世話しとくから

 そう言ってお兄ちゃんは部屋に入っていった。

 大丈夫だよお兄ちゃん。心配いらないからね。


 僕の問題なんだ。僕が解決しなきゃ。

何で言わない。華凛……

何で俺に言ってくれないんだ……


だ、だめだ。


こんな生活。俺には耐えられない……

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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