@脳内:声が聞こえる1000字
文字数 898文字
「だからいったじゃないか、ホットコーヒーLじゃ飲みきれないって」
「だって飲みたかったんでしょ⁉ だからしょうがないじゃない」
目の前にはホットコーヒーLが1つ。
実際の所、コーヒーが好きかと言うと普通くらいだ。
でもまぁLを一気に飲み切ることはできないな。そう思って手に取ると、やはりすでに冷えていた。2杯目半額というキャンペーンにつられてしまったのもあると思うが、短時間でコーヒーL2杯は正直厳しい。
「だいたい俺はコーヒーは好きじゃないんだ」
「あんたの趣味なんか聞いてないじゃない! 私は好きなの!」
「好きでも一度に飲める量というものを考えろ。例えばアイスコーヒーにするとか」
「アイスコーヒー? 馬鹿じゃないの? アイスコーヒーこそ早く飲まないと氷が溶けて薄くなるじゃない」
確かにアイスコーヒーのほうがおなかガブガブ感がすごそうな気はする。
うーん。
休憩室の窓際の席で窓の外を見下ろすと、まだ夏の気配が残る太陽が街並みを燦々と照らしていて、眼下の大通りにはたくさんの人間が行き交っていた。
「ハハハまるで人がゴミのようだ」
「ばろすばろす」
はあ、もうなんなんだこれ。
何日か前、朝起きた時に突然頭の中で知らない声が響いた。
けれどもそれ自体は驚きに当たらない。こういうことはたまにあるんだ。頭の中で何かが混線するのか、突然知らない声が聞こえることがある。その声は毎回違うし、しばらくしたら聞こえなくなる。一度病院に見てもらったが、特に病気、例えば統合性失調症とかそういうものでもないらしい。
だから幽霊か何かだと思うことにしている。宇宙人の毒電波とかかもしれないけど。
それで何日か前から発生した声は2人だった。複数人の声の場合もなくはないのだけど、僕がこれほど早く消えて無くなって欲しい声は珍しい。
「あんな有象無象より君のほうがよっぽど大事だ」
「あら、嬉しい……私もあなたが大切よ」
ほらまたはじまった。こいつらはひたすら喋り続けて痴話喧嘩をした挙げ句ひたすらノロケ続ける。うっとおしすぎる。
ああ、早く消えてくれないかな。仕事が手につかないよ
録音できればASMRだかで売れそうなのに。
了
「だって飲みたかったんでしょ⁉ だからしょうがないじゃない」
目の前にはホットコーヒーLが1つ。
実際の所、コーヒーが好きかと言うと普通くらいだ。
でもまぁLを一気に飲み切ることはできないな。そう思って手に取ると、やはりすでに冷えていた。2杯目半額というキャンペーンにつられてしまったのもあると思うが、短時間でコーヒーL2杯は正直厳しい。
「だいたい俺はコーヒーは好きじゃないんだ」
「あんたの趣味なんか聞いてないじゃない! 私は好きなの!」
「好きでも一度に飲める量というものを考えろ。例えばアイスコーヒーにするとか」
「アイスコーヒー? 馬鹿じゃないの? アイスコーヒーこそ早く飲まないと氷が溶けて薄くなるじゃない」
確かにアイスコーヒーのほうがおなかガブガブ感がすごそうな気はする。
うーん。
休憩室の窓際の席で窓の外を見下ろすと、まだ夏の気配が残る太陽が街並みを燦々と照らしていて、眼下の大通りにはたくさんの人間が行き交っていた。
「ハハハまるで人がゴミのようだ」
「ばろすばろす」
はあ、もうなんなんだこれ。
何日か前、朝起きた時に突然頭の中で知らない声が響いた。
けれどもそれ自体は驚きに当たらない。こういうことはたまにあるんだ。頭の中で何かが混線するのか、突然知らない声が聞こえることがある。その声は毎回違うし、しばらくしたら聞こえなくなる。一度病院に見てもらったが、特に病気、例えば統合性失調症とかそういうものでもないらしい。
だから幽霊か何かだと思うことにしている。宇宙人の毒電波とかかもしれないけど。
それで何日か前から発生した声は2人だった。複数人の声の場合もなくはないのだけど、僕がこれほど早く消えて無くなって欲しい声は珍しい。
「あんな有象無象より君のほうがよっぽど大事だ」
「あら、嬉しい……私もあなたが大切よ」
ほらまたはじまった。こいつらはひたすら喋り続けて痴話喧嘩をした挙げ句ひたすらノロケ続ける。うっとおしすぎる。
ああ、早く消えてくれないかな。仕事が手につかないよ
録音できればASMRだかで売れそうなのに。
了