第3話
文字数 543文字
素晴らしかった…この言葉しか今は出てこない。もっと表現する言葉があるはずなのに今は何も出てこない。本当に凄かった…本当…凄い。
主人公がいいの!感情をあまり表に出さず冷静に物事を観察して事件を解決し、被害者や犯人の心情を読み取り接する姿、そして最愛の助手とのロマンス…嗚呼、良い。
私もあんな先生の元に付きたい!
それに比べたらうちの先生ときたら仕事が無いからってずっと寝てるし、起きたと思ったら変なもの買ってるわ、出掛けたら帰ってこないわ、挙げ句の果てには私の給料まで博打に使うわ、人としてどうかしてるんじゃないかと疑いたくなる。
それはそうとあんなカッコいい素敵な方が書いてるなんて思わなかったな、普段どんな生活をしてるんだろう。
お洒落な書斎でお茶でも飲みながら書いているのかな、書斎の窓から海辺の景色とか見ながら
突如、外から鐘の音が響き、ふと我に戻った。
部屋の時計を確認したら六時を知らせる音であった。
「いけない、お夕飯の支度しないと」
助手は慌てて席を立ち、探偵が投げつけた紙くずを拾い部屋を出た。