第参夜

文字数 408文字

  ジャラシャラッ!

 お堂の外で鈴を鳴らす音が聞こえた。

  ぱんっ! ぱんっ!

 手を叩く音。そして……

“私の弟を助けて!!”

 自分と同じ思いを込めて叫ばれた心の声。

『これは……私?』

 そっとお堂の扉から外をうかがうと、十二,三歳の少女が一心にこちらへ向かって手を合わせていた。

“弟の病気を治して下さい! 弟がよくなるのなら、私はどうなっても構いません!! だから……!!!”

 しかし、当然ながら答えるもののない様子に、少女の両目からぽろぽろと大粒の涙がこぼれ始める。


“こんなに祈っているのに、弟は少しも良くならない……。きっと…きっと……”


『……そう、神様なんていない。この世のどこにも……』

 泣いていた少女が顔を上げ、不思議そうに辺りをうかがう。

『聞える? 私の声が?!』


“……誰? 神様?”

 今度ははっきりと、少女が自分の方へと視線を向けた。

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