第7話 古来より巫女とは
文字数 480文字
天宮家は代々主君に仕える神官や巫女を輩出してきた家系だ。今日は二人そろって報告と相談の両方に来たのである。
うむ、と祖父は腕組みをした。
「そなたは九条家に仕える巫女なのだから、まずは殿のお許しをいただかねばならん。それから後任の者を探さなくては」
桜花は考えを巡らせてみたが、特にこれといった心当たりは浮かばない。
「その件はわしの方でも探してみよう。九条家に直接お仕えし、神事を執り行う者じゃ。慎重に選ばんと」
そこで祖父がうっほん、と咳払いする。
「ところで桜花」
名指しされて桜花は祖父に視線を向ける。
「早くひ孫の顔を見たいのはやまやまじゃが、正式に巫女の座を辞し、祝言を挙げるまでは……いかんぞ」
「え?」
大きな瞳をさらに見開いて、桜花は祖父の顔を見つめた。伊織も何のことか理解できず、二人は顔を見あわせる。
「いけないとは、何がいけないのでしょうか?」
祖父は言いよどんで、再び咳払いした。
「いや、だから、そなたは今もまだ天宮の巫女であろう」
「さようですが……」
「古来より巫女とは清らかな乙女と決まっておる。ええい、この意味がわからぬかっ」
「── !!」
うむ、と祖父は腕組みをした。
「そなたは九条家に仕える巫女なのだから、まずは殿のお許しをいただかねばならん。それから後任の者を探さなくては」
桜花は考えを巡らせてみたが、特にこれといった心当たりは浮かばない。
「その件はわしの方でも探してみよう。九条家に直接お仕えし、神事を執り行う者じゃ。慎重に選ばんと」
そこで祖父がうっほん、と咳払いする。
「ところで桜花」
名指しされて桜花は祖父に視線を向ける。
「早くひ孫の顔を見たいのはやまやまじゃが、正式に巫女の座を辞し、祝言を挙げるまでは……いかんぞ」
「え?」
大きな瞳をさらに見開いて、桜花は祖父の顔を見つめた。伊織も何のことか理解できず、二人は顔を見あわせる。
「いけないとは、何がいけないのでしょうか?」
祖父は言いよどんで、再び咳払いした。
「いや、だから、そなたは今もまだ天宮の巫女であろう」
「さようですが……」
「古来より巫女とは清らかな乙女と決まっておる。ええい、この意味がわからぬかっ」
「── !!」