第1話

文字数 448文字

静かな緊張感が続く。
細部の細部まで張り巡らされた信号が、ちかちかと私の体を忙しく這いずり回る。
誰かの息をのむ音に合わせて、私も息をのんだ。

目を開けたら、すでに私は空を見ていた。
信号の一つ一つに耳を澄まし、息を整える。
届けるべきモノを確認。この子を無事に送り届けることが私の使命だ。
失敗は許されない。
私の軽くて丈夫な体も、燃えさかる心臓も、人の歴史と努力が重なりあって、今ここにある。
だからこそ、たくさんの人が私の旅立ちを願っている。

『10分前です。』

いよいよだ。
旅立ってから数分で私は足を落とす。
軌道に乗って、心臓の一つを落とす。
そして、無事に送り届けたら、私の心臓はとまる。

私の生きる時間はわずかだ。
だから、懸命に、全うしてみせる。

あの空の向こうには何があるのだろうか。

旅立ちはいつも少しだけ怖い。

それでも、
応援してくれる人がいるから。
支えてくれる人がいるから。
願ってくれる人がいるから。

勇気を出すよ。

『-ロケット発射5分前ー・・・。』
『-・・・5、4、3、2、1、リフトオフ』

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