第27話 細雪の夜に

文字数 141文字

 婚姻の儀のために国を発つ前夜小さな頃にした約束を思い出した。
 戸を開けて雪がしんしんと降り積もるテラスに飛び出る。素足に雪の冷たさが突き刺さる。
「私をさらって!」
 灰色の雪が降る空にひとり叫んだ。
 次の瞬間私は夜のように黒い外套の男に抱きすくめられていた。男は薄い唇を微笑ませた。
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