マホラさん、お逃げなさい。

文字数 532文字

ラムダは賭けに出たのだ。

3時間以内で、マホラに全てを託す。

それでこの世界はより幸福になるだろうと。
……なにをすれば食べ物が増えるの?
……教えてよ、ラムダ。
陸はほぼダメ、危険、汚染。

よって、海。海に行く。

みんなで船探すor作る!
……ウミってなぁに?
……フネってなぁに?
海は大きな池や水たまりや沼。

第19村の770万倍大きい!
……どれくらいだろう?
……そんな数字は絵本にあるくらいだよ……。
いっぱい! いっぱい! いっぱい!
マホラのお腹も! 両親のお腹も! みんなのお腹も!

いっぱいぃぃいいぃぃいいぃぃいい!

というメッセージを言い終える前に、決戦兵器としてのラムダが表に出た。

ここ40年は何もなかったので、特段心配はしていなかった。

いや、都合よく生態脳のせいにして忘れていたのかもしれない。
『日本国民軍需省とYOTUBAがお知らせします。

 敵勢力の弾道兵器が向かっていています。

 国民行動第3番を思い出して、並んで移動を始めましょう。

 さあ、深呼吸を始めます。愛国心を持った日本国民は深呼吸です。

 吸ってぇー、吐いてぇー。

 国民行動3番です。順序良く移動しましょう。

 皆様の生命と安全は軍需省とYOTUBAがお守りします。

 皆様の生存と平安こそ、私たちの悦びなのです』
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登場人物紹介

マホラ

19番村の少女。
好奇心が旺盛で、機械の森へ行きたくて仕方がない。
2098年の新生大和王朝の迫害から逃れてきた一族の末裔。

好奇心が旺盛で、誰にでも優しいがどこか暗い印象を持っている。
それは両親に関係しているようだ……。

ラムダ

2068年 第三次世界大戦末期に日本国軍需省が作った決戦兵器。
生体をベースにしているため、山川で小型の動物などを捕食して生きながらえた。

あくまで日本国軍需省の長官の命令で動く兵器であるため、現在は待機状態である。
原則的にはロボット三原則を守り、敵と見做す存在以外には人道的である。


正式名称「YOTUBA35式生体可変決戦兵器λM3F5M19」

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