故郷への帰還(1)

文字数 465文字

 

 帯状の光が、ステンドグラスを通して聖堂を青く染め上げている。
 青い光の中に、司教冠をいただいた初老の司教と年若き助祭がいた。
 教区中から集った司祭たちが、今まさに執り行われんとする儀式の様子を見守っている。これから若き司祭が任命されるのだ。

 見目の良い青年だった。整いすぎといってもいい顔立ちだが、優しげな目元と微笑を湛えた唇が表情を和らげている。背が高く、凛と背筋の通った堂々たる立ち姿。聖人といったらまさにこんな青年だろうと思わせるような人物だ。
 が、勘の鋭い者なら、彼の瞳の奥に燃える炎に気づいただろう。どうやら小羊のように大人しい青年とはいかないらしい。まさに体のともし火は目である。

「あなたはキリストとともに、自分自身を人々の救いのために神に捧げますか」
 司教の声が聖堂の高い天井に響く。
 青年は真っ直ぐに司教を見つめ、澄んだよく通る声で応えた。
「はい、捧げます」



 20XX年11月某日。
 叙階を受けて、若き司祭がその任に就いた。
 彼の名は木城朔太郎(きじょう さくたろう)
 後に数々の奇跡を起こし、川崎の救世主と呼ばれるようになる──。
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登場人物紹介

木城朔太郎(きじょう・さくたろう)

新任司祭。川崎特区の教会に赴任する。

久我山蒼生(くがやま・あおい)

川崎特区生まれ育ちの少年。

恭平
蒼生の仲間。蒼生を慕っている。

マサ

蒼生の仲間。

ユウキ

蒼生の仲間。

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