ともだち(2)

文字数 1,276文字

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うえぇぇん!

うえぇぇん!

幼い頃、あたいは独りぼっちでいた。


両親は交通事故で亡くなり、あたいは施設に預けられた。

物心がまだついていなかったあたいにはその状況を把握する事が難しかった。


後から聞いた話によると、両親はあたいの身を庇って亡くなったそうだ。

あたいの身体を包み込むようにして…。


そんな事実を知ってもあたいにはどうする事もできない。

ただ独り泣き続ける事しかできない。

…お前、なんで生きてんの?
施設にいる子たちは皆、あたいを忌み嫌っていた。

ほとんどが両親に捨てられた子で、違う境遇にいたあたいには冷たい言葉がかけられた。


あたいは「両親に愛されて」いた。

愛されもされなかった子たちからすると、何か気にくわないのだろう。


でも、あたいの何が悪いっていうんだ?

サツキちゃんが殺したんだよ。

お父さんと、お母さんを

違う。


あたいは悪くない。

あたいにはどうする事もできなかった。

両親の「あたいへの愛情」がそうさせたんだ。


そう、あたいは何も悪くないんだよ。

なんでココにいるの?
いちゃダメなのか?

生きてちゃ…ダメなのか?

あんたが死んじゃえば良かったのに
……。


…そうなのかな。

あたいが死ぬべきだったのかな。

あたいが死んで、お父さんとお母さんが生きるべきだったのかな。

わからない。

人殺し!
人殺し!
人殺し!
人殺し!
そっか。

あたいは人殺しか。


わかったよ。

そんなにあたいを人殺しにしたいんなら、自分からなってやるよ…人殺しに。

そして、あたいは殺し屋になった。


「人殺し呼ばわりするんだったら、お望み通り殺し屋になってやるぜ!」


はは…。

何とも単純な考えだこと。


いいんだこれで。

孤独なあたいにはもってこいな職業だろ?

でも…あたいには殺すことができない。


今までタイミングが悪かったってのもあるが、それだけじゃない気がする。


きっとこれからも殺せない気がする。


命の重みを知っているから。

命の尊さを知っているから。



…ふん。

名前はサツキ(殺気)のくせに殺せないだなんてお笑いにも程があるぜ。

流石に殺せない殺し屋ってだけじゃ格好がつかないから、あたいはせめて舞い込んでくる依頼は全て引き受ける事にした。

どんな内容の依頼でもな。

…ま、もともと頼まれたら断れない性格だったってのもあるんだけど。



「依頼は何でも引き受ける」



それがあたいのモットーとなったんだ。


サーツキっしゃまっ!

あーそびーましょっ♪

そんなあたいにも友だち?ができた。


今まで嫌われてばっかりだったあたいを初めて受け入れてくれたのが、森の動物たちだった。


大のオトナが動物たちと友だちだなんて情けねぇ話だがな。


…でも、あたいはそれでも良かった。

暇やから付き合えや!
食事会に来ませんか?
火星で遊びまちょう♪
…おさんぽ…しよ…
そう、みんなみんな大切な友だちだ。


かけがえのない存在だ。



だから。


だから例えば友だちの身が危険にさらされていたら、お父さんとお母さんがあたいにしてくれたように…




「命にかえてでも助ける」




そう心に決めていたんだ。

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つづく
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登場人物紹介

名前:日下部サツキ

性別:女

年齢:24歳

血液型:O型


殺し屋。

一人称は「あたい」。

頼まれると断れない性格。

故に、依頼はどんな内容でも引き受けてしまう。

本人は「依頼を断らないのはモットー」だと言い張っているが、実際は断れないだけ。

一応「殺し」専門としているが、結局何でも引き受けてしまう。

色気なし。

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