第四話
文字数 7,405文字
「ただいまぁ……」
何だか自己嫌悪に陥り少しだけ暗い気持ちでいつもの様に金木犀のベルを鳴らして帰宅すると、そこにはいつもと変わらない風景が広がっていた。
ピアノの落ち着いたBGMが流れ、コーヒーの香りが漂いカウンター越しには無駄にイケメンな兄の姿とホールで愛嬌を振りまくこれまた無駄に可愛すぎる凛さんの姿。
なんか落ち着くな、この雰囲気。あたしも手伝おうかな。
「お帰り。何だ?ぼうっとして?」
「あ、お兄ちゃん……」
「…また喧嘩でもしたのか?」
「いや、それはないけど……。やっぱりいきなり身辺調査とかするもんじゃないなぁって思って……。ちょっと後悔してるとこ。」
怪訝そうに見る兄に慌ててそう言うと、あたしはいつもと違うある光景に気づいた。
カウンターの一番奥の席。そこに座って本を読んでいる一人の青年。今朝と同じく禰宜コスチュームが似合い過ぎる妙な雰囲気を醸し出している。が、彼の周りは五月晴れに吹く風の様に爽やかさが漂っている。
「な、なんで紫乃さんがいるの!?」
「…俺が知りたいよ。」
あ……機嫌悪い。
兄は爽やか過ぎる紫乃さんを見ながら、眉間に皺を寄せて不愉快極まりない表情を浮かべていた。昨日からそうだ。紫乃さんのことを信用していない証拠だ。
気持ちは分かる。あたしもつい前まではそうだった。でも、蕾ちゃんの話を聞いたら疑う気持ちも少し削がれてしまったというか。祓い屋で作家先生と言うのは本当らしいし。
「まぁまぁ、お兄ちゃんもそんなムッとしないで。いい大人なんだから。」
「お前はいいのか?あんな……」
『あんな胡散臭い男』と言いたかったのだろう。その言葉を遮る様にあたしが口を塞がなければ。
「けど……。見てよ、あれ。近所のマダム達に大人気だよ?」
「それだ!納得いかない……」
気づけば紫乃さんの周りにはここの常連マダム達が群がっていた。紫乃さんはあんな顔だしあの雰囲気だからマダム達の心を掴むなんてこと簡単だったのかもしれない。
「……あ。そう言えば……蕾ちゃんが言ってたんだけど。」
「なんだ?」
「紫乃さんてここに住んでたんだって。」
「それは昨日話していただろ。第二の故郷なんだろ?胡散臭いけどな。」
「あ、そう言えば。でもあれで結構苦労してるんだって。特に妹さんの事とか……」
「俺も一緒だ。」
「それはごめん。でも紫乃さんに妹って……どんな人なんだろうね?」
「あの人の妹……。不良少女とか?」
「お兄ちゃんふざけてるの?」
爽やか笑顔でマダム達と談笑する紫乃さんを見ながら、兄が真顔でそう言うのであたしは思わず突っ込んだ。あの人の妹が不良って。想像出来ないんだけど。
「俺は真面目に言っている。妹のことで問題を抱えてるんだろ?なら…かなり手のかかる子ってことだろ?お前とは少し違う意味で。」
「それどういう意味?」
「説明して欲しいか?」
「いい!いらない!!」
「……あの人。あんな恰好をしてるけど育ちの良さそうな顔してるだろ?」
「……そう言えば。」
確かに紫乃さんはただの爽やかイケメンってだけじゃなくどことなくお上品な顔立ちをしている気がする。それに物腰も柔らかいし穏やかだ。言葉遣いにも乱暴さを感じない。
「育ちは良いが家庭に問題がある…。そのせいで妹はやがて非行に走り、兄はそれを正そうと翻弄して苦労するわけだ。」
「なるほどぉ……」
「しかし非行に走る妹に両親は目もくれず、自分には過度な期待を掛ける。そして母親はこう言うんだ。『あなただけはちゃんとして頂戴』ってな。その期待に押しつぶされそうになりながらも一人でなんとか生きて来たが……限界を感じて逃走した。そんな感じじゃないのか?」
「お兄ちゃんの想像力が意外な程ありすぎてびっくりしてるよ。あたし。」
「よくあることだ。」
「元刑事の勘ってやつ?」
「そうかもな……。まぁ、想像だけど。」
「…それで懐かしい場所に逃げて来た紫乃さんはここでまた新たにやり直そうとしている……」
「…そんなところだろ。」
これはあくまで皐月兄妹の妄想…いや想像であるが……。そう考えるとあの爽やかな笑顔が益々胡散臭く思えてくる。そして胸も痛む。同情心が芽生えてしまったのだろうか。
う~ん……。益々気になる!!
「あ、そうだ!お兄ちゃんに見て欲しいものがあるんだよね。」
「なんだ?テストの点数でも良かったのか?」
「違うよ!!」
あたしはふと思い出し、カウンターの真ん中の席に座ると鞄を漁った。
これはやっぱり一人よりも二人の方がいい。この人に手伝って貰えば間違いないだろうし……。怒られるか馬鹿にされるかもしれないけど。
「ジャーン!!紫乃さん調査ノート!!(小声で)」
「…なんだそれ?」
空き時間に一生懸命書き綴ったノートを見せると、兄は案の定呆れた表情を浮かべた。
「……お前、まだ友達出来ないのか?」
「な、なんでそれを!?っていいんだよそれは!!これから作るから!!」
何かを察して向けられる兄の哀れんだ目が痛い。氷頭先生と同じような事を言うんだから!失礼しちゃう!!
「まぁ聞きなよ。」
「なんでそんな偉そうなんだ?」
「このあたしが無い知恵絞って退屈な休み時間にある計画を立てて…」
「やっぱり一人なのか。もしかしてお前虐められてるのか!?」
「そ、そんな事はないもん!!」
若干引かれて距離置かれてるけど……。
「と、とにかく!!これを見てよ……。ふふ、凄くない?」
「………」
疑わしい目で無言であたしのノートを手に取ると、兄はそれに目を通した。何だかんだ言ってちゃんと見て聞いてくれるから良い。
「……で?何処までやったんだ?」
「蕾ちゃんに話を聞いて……」
「それで?情報は?」
「えっと……。妹と問題があって、実家が由緒ある祓い屋一家で紫乃さんが実は苦労人ってこと。」
「他は?通っていた学校は?その他交友関係諸々は?」
「…わかりません。」
「駄目だな。」
「だ、だからこれからしようと思って!!こうやってお兄ちゃんの協力を得ようとしてるんじゃん!!」
「他力本願って知ってるか?」
「だ、だって!!あたし一人じゃ無理だよ!!てか一人で調査してもいいの?あたしが?」
「駄目に決まってるだろ。」
「じゃあお兄ちゃんも協力してよ!!気になるでしょう?」
「全く。ただ胡散臭い奴をお前に近づけたくないだけだ。教育に悪い。」
「そんな事言ってぇ~!!視線は紫乃さんの方に向けっぱなしの癖にぃ~!!」
「…あれはあれで人目を嫌でも惹くだろ。」
「ま、まぁ……そうなんだけど。」
現にあたしも視線は紫乃さんにチラチラ行ってしまう。本当に目立つのだ、あの人は。
当の本人はそれを知ってか知らずか相変わらずだ。笑顔でマダム達に囲まれ楽しそうに会話している。たまにコーヒーを飲みながら。
「…わかった。じゃあ協力してやるからお前一人で行動するのはやめろ。」
「やった!さすがお兄ちゃん!!」
「調子良過ぎるぞ。絶対単独行動はするなよ?いいな?」
「了解~!!じゃあ、さっそく作戦練らないと!!何から始める??あ~!なんかこういうのって一人より二人ですると楽しくなってくるよねぇ~!!」
「俺は不安で一杯だよ。」
と、ため息一つ。
賑やかな喫茶店金木犀は今日もいつもと変わらず。美味しいコーヒーと素敵なひと時を提供してるのであった。
カランカラン♪
「ありがとうございましたぁ~!」
マダム達が一斉に去った夜。この時間帯になると仕事帰りのサラリーマンやOLさんの姿が目立つ。紫乃さんは相変わらずカウンターの隅の席で本を読んでいた。
「はぁ~……今日はお客さん多かったね。」
「有り難い事だろ。まぁ、この付近の喫茶店なんてここくらいだからな。」
「もうちょっと内装とかお洒落にしたら?ほら、ボタニカルカフェ風にしたりとか!!あ、でもお洒落なブックカフェでもいいなぁ~!!」
「ブックカフェって…お前漫画しか読まないだろ。」
「じゃあ漫喫風!」
「なら反対側にある漫喫に行くだろ。とにかく、ここはこのままで良いんだよ。」
「う~ん……。まぁ、あたしも嫌いじゃないんだけどさぁ。」
金木犀の内装は昔懐かしい喫茶店風。レトロと言ったらお洒落に聞こえるかもしれないが、今時の女子高生達から見れば『古臭い』イメージかもしれない。最近はお洒落な花屋の様な喫茶店や落ち着いて本が読めるブックカフェなんかも増えてきているのに。
そう言えば、学校近くにあるカフェもお洒落だったなぁ。ショーケースに並ぶケーキ達もお店の雰囲気に負けず可愛くて綺麗で美味しそうだったし。入った事無いけどね。
「うちのスイーツも好評だろ。そっちは全部凛に任せてるけどな。」
「凛さんのスイーツは絶品だもんねぇ!!可愛いし♪」
凛さんはお菓子の専門学校に通う学生さん(成人済み)である。その手から生み出されるスイーツの数々はどれも絶品で、一学生が作った物とは思えないくらいだ。見た目も映える可愛らしい物から昔ながらの物まで様々だ。
絶対女子高生の心を掴むと思うんだけどなぁ。お兄ちゃんの料理も美味しいし。勿論看板のコーヒーも最高だ。
ただこの古めかしい見た目のせいか若い層はあまり入って来ない。入って来るのは決まった常連さんのおじちゃん、おばちゃん、おじいちゃん、おばあちゃん達とか。最近は若いママ友達の駄弁り場になっていたりもするけど。
「イケメンマスターがいるのになぁ……」
「俺は俺は??」
「凛さんも十分イケメンですよ。このコンビ最高なんだけど……」
紫乃さんの調査よりここの先行きが不安になって来たかも……。
というか……。紫乃さんさっきから何の本読んでるんだろう?たまにノートに何か書いてるみたいだけど。
「ん?何だい?」
「あ…いえ……」
あたしの視線に気づいたのか、紫乃さんは顔を上げ微笑みかけた。
ああ、爽やか過ぎるこの笑顔。これにマダム達は騙され……心を奪われていまったんだろうな。罪な笑顔だ。
「これかい?これは……」
「『正しい校閲の仕方』?紫乃さんって作家ですよね?」
「うん、でもこういう知識も揃えておきたくてね。自分で書いた物は最後まで責任持って仕上げてから送り出したいだろ?」
「はぁ……。」
意外とちゃんとしてるんだ。この人。
でも校閲って結構面倒で難しいとかって噂だ。言葉の意味とかもちゃんと知っておかないといけないから知識も膨大じゃないといけないって。噂だけど。作家さんは大抵そう言った細かい部分は丸投げしちゃうとか。
「紫乃ちゃん努力家なんだねぇ!」
「そうかい?ただ…担当の人が結構アバウトな所もあるから……」
「わぁ~!担当って編集さん?カッコイイ!!」
「そうだよ。でも担当さんと折り合いが悪いと最悪なんだよね。意思疎通が上手く行かなかったりするともう……。」
「え?もしかして今そうなの?」
「はは、今はそんなでもないよ。」
「へぇ~!!じゃあもしかしたら今度ここに来ることあるのかな?紫乃ちゃんと担当の編集者さん!」
「そうだね、そのうち会えるかもね。その時は凛君にも紹介するよ。」
「やった~!!」
凛さんは相変わらず無邪気で可愛い。昨日会ったばかりの紫乃さんに対してもこの通り。警戒心も何もなく近づいて行く。
そんな凛さんの愛らしい姿に和んだのか、紫乃さんも嬉しそうだ。笑顔は相変わらずだけど。
「それで?珠ちゃん、今日は変わりなかったかい?」
「え?あたしですか??」
「昨日の約束忘れたのかい?」
「あ…ああ。はい。特に今日は……ん?そう言えばいつもより楽でした。」
「そっか、それは良かった。」
「…紫乃さんなんかしました?」
笑顔が何処か意味ありげに思えたので、あたしは思わず詰め寄り聞き返した。
紫乃さんの調査の事で気にしていなかったけど、確かに今日はいつもより体が楽だった。むしろ憑かれた感じが全くなかった。いつもなら何度も何度もあるはずなのに。
「右のポケットに手を入れてごらん?」
「ん?え?ポケット…ですか??」
ゴソゴソ……
ん?なんか堅い何かが……??なんだこれ??
制服のポケットの中からそれを掴み出して見ると……。石??
「綺麗……」
「それは水晶の勾玉だよ。お守りに良いと思ってね。」
「勾玉…あ、確かに!どっかで見たと思ったんですよ!この形!!」
水晶や勾玉くらい石に詳しくない人でも知っているだろう。勿論あたしも。そう言えば紫乃さんの首飾りにも勾玉が付いていた。こっちは翡翠っていうのかな?なんか蓬餅みたいな色をした渋い感じの色だ。小さくてあまり目立たないから形まで気づかなかったけど。
と言う事は……。今朝の
あの時
に?いつの間に!?「珠ちゃん、朝からさっそく憑かれていたから心配でさ。かと言って俺がずっと傍にいる訳にもいかないだろう?俺はそれでもいいけど……」
「や、やめてくださいよ!!」
ただでさえ引かれているのに……!!
爽やかに笑う紫乃さんに全力で拒否を示した。
ああ、お兄ちゃんの視線が怖い……。
「勾玉は魔よけのお守りとして有名なんだよ。勿論、
ただの
勾玉じゃあないけど。」「な、何をしたんですか!?」
「ちょっと俺の力を込めておいただけだよ。そんなに怖がる必要はないさ。」
「いやいや!なんか怖いんですけど!!」
「でもそのおかげで今日は快適だったよね?」
「うっ!?ま、まぁ……本当に快適でした。昨日までが嘘の様です。」
魔よけならただの勾玉でも良かったんじゃないんですか?紫乃さん??
そんな物はネットで探せばいくらでも売ってるし……。やっぱり祓い屋さんの勾玉って特別なんだろうか?あとで高額なお金を請求されたりしないよね??こういう詐欺ってよくあるし!!
霊とは違う恐怖を感じたが、目の前の爽やか好青年はそんな事をする様な人には見えなかった。これだけ胡散臭いのに。
「うん、良い事だ。当分は
それ
で何とかなりそうだね。」「え!?じゃあもう……」
「俺がいない間はって話だよ。その魔よけの力の源は俺だよ?」
ああ、そうですね。『力を込めた』って言ってましたもんね。
勾玉って一体いくらするんだろう??100均とかで売ってないかな。
「込めた力はいずれ弱くなるからね。だから俺がいるんだよ。」
「…ですよねぇ……。」
「嫌そうな顔だなぁ。ちょっと傷ついたよ。」
「う、嘘だ!!」
「本当だよ。俺は傷つきやすいんだよ。」
「絶対嘘!!」
この人……本当……良い性格してる!
口ではそう言いながらも顔は笑っているのがその証拠だ。絶対楽しんでる!!
「ちょっと待った。如月さんでしたね?そんな高価なものを渡されても困る。」
と、ずいっと出て来たのはさっきまで黙って聞いていた兄。当然こうなる。勾玉の相場がいくらかは知らないけど突然妹にそんな物を渡されたのだから。
「確かにあの約束には俺も同意したが……これとそれは別だ。」
「同じですよ。俺がどうしても間に合わない場合を考えれば……何か保険を掛けておきたくなるでしょう?」
「だからってこんな……」
「確かにあなたにとっては妙な物かもしれません。ですがこちらではこういった物は結構メジャーで……と言っても納得してくれませんよね。」
「当然だ。」
険しい表情の兄を前に、紫乃さんは少し困ったような笑みを浮かべたが口調は穏やかだ。鋭い兄とは違い。場慣れしているんだろうか。こういう交渉を。
お兄ちゃんもあたしと同じこと考えたんだな。あとで高額なお金を請求されるとかって。詐欺の話もお兄ちゃんが刑事の時に聞いた話だし。
「困ったなぁ。……聡一郎さん、珠ちゃんに何かあったらあなたは助けてあげられますか?物理的な事ではなくて霊的な事で……」
ふっと紫乃さんから笑顔が消え真顔になった。それに釣られてか兄の表情も一層険しくなる。
喧嘩はやめて…!!と言いたいけど……。そんな事口に出来ないくらいピシッと張りつめた空気になっていた。一瞬にして。
「それは……何とかなるかもしれないだろう?」
「あなたにも危険が及んでしまってもですか?その結果…あなたが大切な人を傷つける結界になっても?」
「どういう意味だ?まさか俺が悪霊に取り憑かれて珠惠を殺すとでも言いたいのか?あるわけないだろう?」
「『ありえないことはありえない』それが祓い屋の心得の一つです。一般的な概念に捕らわれることなく、あらゆる観点で動くのが祓い屋です。現に俺はそんな惨状を何度か目にした事がありますし……」
「俺を脅すつもりか?」
「そういうつもりで言ったのではありません。不快な思いをしたのなら謝ります。ただ…知っていて欲しいんです。この世ならざるものの恐ろしさを。それによって最悪な結果を招いてしまう事もあると言う事を……」
いつもの穏やかな表情に戻った紫乃さんは、真っすぐ兄とそしてあたしを見て静かに言った。何か子供に言い聞かせる様に。
「視える人間を理解して欲しい訳でも、俺の様な胡散臭い祓い屋を信用して欲しいと言っている訳でもないんです。ただ、その家族の方なら知っていて欲しいんです。そして信用していなくても……その時は俺を頼って欲しいんですよ。」
「……あんたなんでそこまでして珠惠を助けたいんだ?」
「そうですねぇ……。そう言う子を見ると放って置けないんですよ。職業病みたいなものです。あはは!」
「…なんだそれは。」
紫乃さんが笑うと、兄の表情も少しだけ和らいだ気がした。ピシッと張りつめた空気が一瞬にしてまた緩んでいく。
良かったぁ……!!喧嘩にならなくて!
穏やかな空気にほっと胸をなでおろすと、凛さんと目が合ったので笑顔で合図を送ったのであった。良かったねって感じで。
「じゃあ、そういうわけで。お兄さんも了承してくれたことだし…これからは堂々と珠ちゃんの傍にいて良いってことだね。」
「え、ええ!?」
あたしの頭を撫でながら、紫乃さんは満足そうに微笑んだ。本当に楽しそうに。さっきまでのシリアスモードは何だったのだろうか。ちょっと祓い屋のプロって感じで恰好良かったのに。
「おい!それは許可した覚えはないぞ!!」
「あはは、いいじゃないですかぁ。」
「よくない!!」
ああ、また始まった……。
お兄ちゃんも一々目くじら立てないでよ!恥ずかしいなぁ!!
金木犀の夜は少しだけ静か。でも今日は少し…いや、かなり賑やかな夜になりそうだ。
ああ、あたしのこれからってどうなるんだろうか?