第17話 うまや橋高校に編入

文字数 862文字

理事長はあたしを大河と漂の従兄妹という事にして、
洸星学園うまや橋高校への編入の手配をしてくれた。

が……、

「一応、うまや橋高校は進学校だからある程度学力つけてね」

と言われ、あたしは大河に勉強を教わる事になった。
リビングの小上がりで座卓に向き合って座り、英語の教科書を開く。

「なぁ、I was の wasって何だ?」

「え? そのレベル!? 先は長いなぁ……」

大河は頭を抱えた。

初登校の日程が決まると、制服も作る事になった。
うまや橋高校のパンフレットを見ると
ブレザーにチェックのスカートだった。
今時の制服はブレザータイプが主流らしいが、
それにしてもみんなこんなにスカートが短いのか?

午後になり制服の業者がやって来て、採寸を始めた。

「スカート丈は膝くらいでいいかな?」

業者のおっさんが言った。

「長くできますか?」

「え? まぁできますけど……
このくらい?」

とおっさんはメジャーを膝下位に合わせた。

「いや、もっと。 くるぶしまで!」

あたしがそう言うと

「それはちょっと長すぎる!」

とおっさんが困った顔をしたので、
あたしはふくらはぎの真ん中くらいまでで譲歩した。

無事に制服が出来上がり、勉強も付け焼き刃感満載ではあるが、
何とか周りと話を合わせられるくらいにはなり、
いよいようまや橋高校での学校生活がスタートした。

あたしは一年E組に入る事になった。

それにしても自分が転校生になるとは……。
しかも同い年なんだかめっちゃ年下なんだか、
よくわからない連中と同じクラス……。

教室の前に立ち、担任から紹介をされると、
遠慮なく好奇の目が向けられた。

「かわえぇ!」

「スカート長くね?」

そんな声がちらほら聞こえる。

「それじゃ、席はクラス委員の織田(おだ)さんの隣で」

担任の指示に従い、窓側の一番後ろの席に座ると、
隣に座っていた女子生徒が

織田桃奈(おだももな)です! 桃奈って呼んでくれていいから! 
わからない事があったら何でも聞いてね!」

とにっこり微笑んだ。

顎のラインのボブカット、
横分けにした前髪には可愛らしいピンクのパッチン留めがついている。
親しみやすく聡明な雰囲気の子だ。

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