詩小説『彼女』3分の恋愛事情。全ての恋人へ。

エピソード文字数 646文字

彼女

明日君が心変わりをして、この部屋を出て行くとか。あり得ないとは言い切れない。ひとりぼっちに脅える。

ほつれた先をなおそうとしたなら、よけいに絡まってしまった。赤い糸なんて訳じゃない。ひとつずつ解いてく。

君が壊れぬようにと、大事にしてきたけど。ほんとに大事にしてたのは、自分だった。
君を失わないようにと。

後ろから抱き締めて、その両手を握り締めて、指先さえ残さずに包み込むから。

絶やさないように注ぎ続けるから、零さないように受け止め続けて。

いつだって隣で微笑んで。

片隅に置かれたベンチから、見下ろす一階の人波。どこを目指して歩き、どこへ辿り着くのだろうか?

限りのある人生を、無駄に食べて生きてきたけど。今や、取っ替えも、引っ替えも効かない、ただ君がいるだけ。

嘘をついていること。意地悪をしてみること。まるで汚れなく無邪気なままに、騙されていてくれないか。

同じ時刻む中で、同じ被写体を写真に収め、同じ想いで、思い出を分け合ってたつもりだが。

互いに背中を向け合って、違う景色にレンズを向けて、履き違えのシャッターで、違う想いを刻んで。

ドミノのピースひとつ分のすれ違いを埋めようと、慌てて立てたその瞬間、他が一斉に倒れる。

もう一度、並べ直すの。

後ろから抱き締めて、その両手を握り締めて、指先さえ残さずに包み込むから。

絶やさないように注ぎ続けるから、零さないように受け止め続けて。

いつだって隣で微笑んで。
いつだって大好きだと見つめて。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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