第117話  いってらっしゃいの……

文字数 3,030文字

 親父達による人生を賭けた? 麻雀も終わり、再び飲み始める。


 先程までのエロティックな雰囲気など皆無であるが、みんな平然と何事も無かったかのように仲良く喋り始めた。

だけどなぁ親父。頼むからその格好と外見はどうにかならんのか?

まぁそう言うな。お前もいつかできるようになるさ。

入れ替わり体質の性質をちょっとイジれば、お前も小学生くらいに戻れるぞ。

え? ほんと?

私なんて幼女になれるわよ。つるぺったんにもなれるのよ。


そんな事もできるの?

入れ替わり体質というのは本当に便利でな。

だからワシは昔っから、こやつらの身体を研究しておるのだ。

だけど、麻莉奈みたいに、幼女とか小学生とか、あまりにも現実の年齢とかけ離れてると、変身出来る時間はごく僅かなんだよ。三十分くらいしかもたん。

今でもリミット2時間並の激痛走ってるし。

マジか。それなら早く入れ替わって来いよ。

 すると親父は「もう限界」とか言いながら、部屋を出て行った。

 リミット二時間経過は親父だってキツイのだろう。


 それに入れ替わる時は、席を外す。

 やっぱりさ、人がいっぱいいると入れ替わる瞬間とか恥ずかしいもんな。

ねぇねぇママ。どうやってそんなことが出来るの?

私達にも教えて欲しいです!

そうよ。そんな面白い事ずっと隠してるなんて。

しょれがね。上手く説明出来ないのよ。

こればっかりは、自分達で「あ~こうやったら出来るのか」みたいに気づくしかないのよ。

確かに。麗華もそう言っておったよな。

昔はそんな事しなかったし、出来るようになったのはつい最近らしいぞ。

しかし。このスキルを昔から会得していたのなら。

もっとカオスな学生時代だったでしょうな。


まさか、学生時代の頃と何一つ変わらぬ美貌で驚きましたぞ。

 と、そこで親父が帰ってくると、元の姿に戻っていた。

あれ? 男じゃないのかよ。

 変身する前も女だったよな?

 それなのに、また女になって帰って来たのに驚いていると、

あはっ。しょれはね。アルコールでしょ。
あっ、そいえばアルコールを飲んじゃうとサイクルがぐちゃぐちゃになるって言ってました!

そそそ、アルコールを飲むと確かにサイクルが変になっちまうんだが……

これもな、経験である程度制御できるんだよ。

上手くいけば、一日中女でも大丈夫だったりするんだ。

それは初耳……凄いっ。

 そんな話をしていると、聖奈が思いっきり溜息をぶっこいた。

 明らかに不満顔で、こいつが何を言おうとしているのか、すぐに分かってしまう。

ああ~~いいなぁ!

私もやってみたい! 本気で入れ替わってみたいのにぃ!

聖奈ちゃん。その気持ちよ~く分かるぞ。

ワシもず~っとそう思っておるのじゃからな。


一度でいいから、女子になってみたいですのお。

持たざるものからすれば、至極万能な能力ゆえ、羨ましいですな。

だけど、この身体だってメリットもあるかもしれませんけど、デメリットも多いですよ。


私達にはそうは思えないのよ。デメリット以上に色んな事が出来るし、ホントにムカツクほど羨ましいんだから!
聖奈ちゃん。わたひは聖奈ちゃんの思うように使っちゃってくださって結構ですからね。

おおっ。なんと素晴らしい関係なのだろうか。

ワシなら思いっきり、使ってあげるのにのお。

 そんな話で盛り上がってると、聞き慣れたスマホのメロディーが聞こえてくる。

あ、ごめん。仕事行かなくちゃ……

せっかくもっと喋りたいのに。

聖奈……
では平八めもこれで失礼しましょうかな。

あんたはいいわよ。飲んでるんでしょ?

運転できないじゃない。


たまにはゆっくりしなさい。わかった?

んまっ! 素敵な社長さんだこと!

あの平ちゃんに、こんなに優しくしてるだなんて、素敵よっ!

なぁ。何か手伝えることはないか? どうせなら一緒に行くぞ?

蓮くん……
聖奈さん。私も……何か出来る事があれば手伝います

あふっ。私もするのでし! 

いつも聖奈ちゃんにお世話になりっぱなしだもん。何かしたいよ。

…………
…………

いいわよ。また手伝ってもらうことは決めてあるから。

だからあんまり、してもらわなくていいの。


世話になってるのは、私の方なんだから。

聖奈ちゃんは立派じゃのう。この集まりのリーダーじゃな。

 みんなが聖奈を褒め称える中「じゃあこれで失礼します」と立ち上がる。


蓮。ちょっとだけ来て。

 するとみんなの視線を一気に浴びる俺だった。

 断る理由もないし、全員の顔がニヤけてたのだけはあまり気に食わないが……

なに?
いいからっ。付いて来てよ
何も言わず付いて行ってやれ。

 そのまま玄関まで来ると、結構急いでるのか、すぐにドアを開けた。

 俺も急いで玄関から出ると、すぐにドアを締めた聖奈。


 その瞬間ムギュっと抱きつかれてしまい、唖然となっていた。

イキナリなんだよ。どうしたんだ?

だって! ものすごく行きたくないもん!

みんないるし。パパだってママだっているし……

聖奈……

それならもうちょい仕事減らせよ。


それか、俺達にも出来るような仕事だってある筈だろ?

何でもいい。やれることは協力したいんだ。

うん……ありがと。

 そのまま固まっちまった聖奈だが、こっちから喋るのにも気がひける。



ねぇ。麗華パパが言うように、あんたの昔の姿に戻れるのなら……

最初にまず。私に見せてね。

え? あ。そりゃ……いいけど。

どうやったら出来るのかわかんないし。


まぁ。もし出来るようになったらまず、聖奈に見せるよ。


もしかしたら、何か思い出すかもしれないし……
あっ、そっか。もしかしていけるかも知れないな。

蓮……私。大分あんたのこと。思い出した気がする。

だけど……


なんとなく、とっても大事な事を思い出せない……そんな気がするの。

分かった。それは聖奈の好きにすりゃいい。

お前の為なら、俺はなんでも出来る。

本当に何でもできるの?
うん。俺にできることがあれば……言ってくれ。

じゃあ。今から仕事行かなくちゃだから……

いってらっしゃいの……

いってらっしゃいの……
いってらっしゃい? の?
あ~もうっ! ちょっとくらい自分で考えなさいよっ!

え? 待って。全然分からん。

いってらっしゃい。え?

もういいわよっ! 

 めちゃくちゃキレ顔に、心底恐怖を感じてしまうが、それよりも「いってらっしゃい」の意味が分からない。


 怒ってしまった聖奈はそのまま階段を降りていこうとするので、俺は待ってくれと静止する。

なぁ。本当に分からん。

何すりゃいいんだよ。

こういう場合。気が利かないのがダメなのかもしれん。


…………
もういいわ。もういいから……そのかわり。

今から起こることに、質問は受け付けないわ。

分かった?

今から起こること? え?

 再び考え込もうとした時、聖奈が「ん~~」と唸り出したので、慌てて「分かった」と連呼する。


 すると階段を上がってきた聖奈は、躊躇いもなく俺に飛びつくと……

 至近距離にある聖奈の顔がどんどん近づくと思いきや、事もあろうか……
目を瞑る!
はいっ!
 その瞬間、唇に何かが触れるが、俺には分からなかった。
聖奈……

あんただけ覚えてるのはズルいって思っただけよ。

これでイーブンよね?


 そして無愛想な顔。


 その後すぐ、階段を下っていく聖奈。

 俺はただ呆然と立ち尽くしていた。


なぁ聖奈……

質問は受け付けないって言ったでしょ?

じゃあね蓮。行ってくるわっ。

あと、これは私が仕事に行く前に必ずするから!

分かった?

 俺が返事をする前に、聖奈は素早く階段を下りていった。
おい……毎回するつもりなのか?

――――――――――


次回。坂田さんへ。1~3

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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