伊東の演技
文字数 1,509文字
大勢の侍・町民 それぞれ武器を持って 伊東達を囲んでいる
勘は刀を構えながら 端の未李依に語りかける
皆 敵攻撃交わす演技
伊東 刀をさばきながら 未李依を垣間見る
未李依 正面の敵に気をとられ 左にいる侍に脇腹刺される
痛みで力が入らず思わず座り込む
勘 未李依の傷を気にかけながら 未李依の視線の先にいる伊東が目に入り 仲間の死骸を一瞥 そして周りの大勢の敵を見まわして決心する
未李依が後ろに倒れるのを 抱き留め地面に寝かす
侍達は 彼らが仲間を殺すのをみて こいつらは皆自害だな 我々侍の手を下すまでもない風で 傍観している
勘 未李依を寝かせた後 未李依を哀しく愛し気にジッと見下ろしている
伊東は 刀を持ち替え 切っ先を勘に向け 勘の右胸を刺す
伊東串刺しにしたまま言う
勘倒れる
伊東は 未李依を失わなければならなかった運命に怒り燃える
睨み周り見渡し
侍は 相手は一人 軽いと 一人一人挑む
伊東は残酷に 顔や関節を狙い 生かしたまま攻撃不能にしていく
伊東のあまりにも残酷な戦いぶりに周りは怯み こいつは鬼だと 侍・町民は確信する
空には黒雲が立ち込め 雨がザーと降る 時々 雷が鳴る
伊東が侍達に立ち向かっていこうと 刀を上段に構える 雨で刀の血が流され 刃が白い
空が光 雷が伊東の刀に落ちた 伊東は雷を受け倒れる
勘は仰向けのまま 伊東が崩れ落ちるのを見て 目を閉じた
雷雨が止む 雲間から太陽が強い光を放つ 皆眩しくて一瞬目を閉じる
彼等の姿はない キツネに化かされたのかと 侍・町民は顔を見合わせる
斬られた侍も元に戻っている
(侍)夢ではない 私達の憎しみを彼らが引き受けてくれたのだ
人は皆同じではない どこか違う 変わったところがあるからと 仲間外れや憎しみを持ってはいけなかったのだ 我々 植物も動物も人間も 今を共に生きる仲間だったのだ