第7話 平易なことば
文字数 1,047文字
本を読むのは好きですが、ものすごく偏食です。
活字ならなんでもよい、そこに文字があればとにかく読む、という活字中毒者を知っていますが、わたしにそこまでの情熱はありません。
食べものに好き嫌いはあまりないのですが(苦手なものはありますが、もし目のまえに出されて「どうぞ」とすすめられたらしれっといただきます。アレルギーではなく味覚の好みの問題なので)、本に関してはものすごく偏食です。食指の動かないものにはいっさい手を出さないし、おすすめされたから試しに読んでみよう、と前向きにとらえることもありません。
自分がそれを読みたいかどうか。
本を選ぶ基準はただそれだけです。
プレゼントにひとから本をいただくのはうれしいです。どうしてこの本を選んでくれたのだろう、と考えます。そして、それを読みたいと思ったときに読みます。それが明日なのか一年後なのか十年後なのかはわかりません。
いまそれを読みたい、と思ったときに読みます。
読みやすい文章が好きです。
ことばの選び方、ひらがなと漢字のバランス、文章のテンポ、表現のうつくしさ、そしてユーモア。
どんぴしゃり、好みの文体に出会ったときの感動たるや。
まるで『聖☆おにいさん』のイエスのようにアガペーを叫びたくなるほどです。祝福せよ!
荻原規子さんの『樹上のゆりかご』のなかで主人公のひろみが、教師から文章の読みやすさを誉められる場面がありました。
「平易なことば」を使ってわかりやすく文章を書くのは案外むずかしいのです。
難しいことを難しく書くのはそう難しくない。
簡単なことを難しく書くのもそう難しくない。
難しいことを簡単に書くのはそれなりに難しい。
簡単なことを簡単に書くのはいちばん難しい。
なにやら呪文のようになりましたが、わたしはそう思います。
わたしが活字に対してたいへんな偏食家だと自覚しているのは、この呪文もどきのうち、最初のふたつは読む気にならないためです。たとえ読んでも、なにが書いてあるのかさっぱり理解できず、ため息をついて本を閉じるだけ。
格調高い文章は好きです。うつくしい文体は好きです。
ただ、わたし個人の好みの問題であり、わたしが勝手に読みにくいなと感じるからといって、その著者には、もちろんなんの落ち度もありません。
好みはひとそれぞれ。ほかのひとの領域を荒らさないよう、自分の庭に好きなものをあつめて物語の世界にどっぷり浸るのが至福のひとときなのです。
読みやすいといってもらえるような文章を、わたしも書きたい。
活字ならなんでもよい、そこに文字があればとにかく読む、という活字中毒者を知っていますが、わたしにそこまでの情熱はありません。
食べものに好き嫌いはあまりないのですが(苦手なものはありますが、もし目のまえに出されて「どうぞ」とすすめられたらしれっといただきます。アレルギーではなく味覚の好みの問題なので)、本に関してはものすごく偏食です。食指の動かないものにはいっさい手を出さないし、おすすめされたから試しに読んでみよう、と前向きにとらえることもありません。
自分がそれを読みたいかどうか。
本を選ぶ基準はただそれだけです。
プレゼントにひとから本をいただくのはうれしいです。どうしてこの本を選んでくれたのだろう、と考えます。そして、それを読みたいと思ったときに読みます。それが明日なのか一年後なのか十年後なのかはわかりません。
いまそれを読みたい、と思ったときに読みます。
読みやすい文章が好きです。
ことばの選び方、ひらがなと漢字のバランス、文章のテンポ、表現のうつくしさ、そしてユーモア。
どんぴしゃり、好みの文体に出会ったときの感動たるや。
まるで『聖☆おにいさん』のイエスのようにアガペーを叫びたくなるほどです。祝福せよ!
荻原規子さんの『樹上のゆりかご』のなかで主人公のひろみが、教師から文章の読みやすさを誉められる場面がありました。
「平易なことば」を使ってわかりやすく文章を書くのは案外むずかしいのです。
難しいことを難しく書くのはそう難しくない。
簡単なことを難しく書くのもそう難しくない。
難しいことを簡単に書くのはそれなりに難しい。
簡単なことを簡単に書くのはいちばん難しい。
なにやら呪文のようになりましたが、わたしはそう思います。
わたしが活字に対してたいへんな偏食家だと自覚しているのは、この呪文もどきのうち、最初のふたつは読む気にならないためです。たとえ読んでも、なにが書いてあるのかさっぱり理解できず、ため息をついて本を閉じるだけ。
格調高い文章は好きです。うつくしい文体は好きです。
ただ、わたし個人の好みの問題であり、わたしが勝手に読みにくいなと感じるからといって、その著者には、もちろんなんの落ち度もありません。
好みはひとそれぞれ。ほかのひとの領域を荒らさないよう、自分の庭に好きなものをあつめて物語の世界にどっぷり浸るのが至福のひとときなのです。
読みやすいといってもらえるような文章を、わたしも書きたい。