第八話『連戦連勝』

文字数 1,865文字

ミリリがジェノを召喚してから1週間程経過した日の出来事。

ミリリはジェノと共に学校内にある体育館に集まっていた。

なんだなんだ。

何だか今日はずいぶんと騒がしいな。


フッフッフッ……。

本日は、サーヴァントを交えての死闘が行われる日。

皆、気分が高揚しておるのだ。

なんだって!?

いよいよ戦が始まるってわけか!

うむ。

人の手にあまる魅惑の球体を

相手の体に衝突させる恐ろしいゲームだ。

当った者は、その体が消滅してしまうが、

地獄から報復することも出来る。

復讐に成功すれば、再び現世に蘇ることも出来るのだ。

ドッジボールをそのように表現する人、

始めてみましたわ……。

何だお主はいきなり。

ていうか誰?

貴方と同じチームのネオンです。

いい加減、名前ぐらい覚えなさい鳥頭。

えっ。

同じチームだったっけ……?

ついさっきチーム分けしたばかりでしょうが!

やっぱりイジメですのこれ!?

お、何だ。

ミリリと金持ちじゃねーか。

お前らもドッジボールを選んだのか。

あ、ライナちゃん。

選んだっていうか、余ったっていうか……。

余ったってなんだよ。

普通はやりたい種目を自分で選ぶだろ。

だって……バレーを選んだら、他に誰も選ぶ人いないし、

バスケット選んだら、選んでた人がいきなり種目を変更するし、

最終的にソフトボールとドッジボールしか選べなくなって

仕方なくドッジにした。ソフトは苦手だし。

……ああ、まあ、そうなるだろうな。
何で納得したの?
いや、だって……。

お前、うんこに「ヘイ、パース!」って言われて

素直にそのボール受け取るか?

避ける。
相変わらず酷い扱いですわね。

気持ちはわかりますけど。

3人が話していると、笛の合図と共に

試合開始のアナウンスが体育館内に響いた。

あ、試合始まるわ。

お前らとは……あ、勝ち進んでいれば決勝戦で当るのか。

ああ、良かった。ま、適当に頑張れよ~。

できれば皆さんとは決勝で戦いたいですからね!

ぜひとも勝ち進んでくださいね!

フッフッフッ、任せておけ。

さあ、我々も死の大地へと向かおうではないか。

おう、ワクワクしてきたぜ!
あ、しまった……。

同じチームってことは、もし彼にボールが当ったら……。

ひょっとして私、大ピンチ?

ミリリ達は自分のチームのコート内に入り、

一列に並んで対戦相手と向き合った。

え~、それではぁ、試合開始ですぅ。

1-Cチームと1-Fチームの皆さ~ん、

これはスポーツですから、正々堂々と勝負をしてくださいねぇ。

あの……先生。
はい、マリアさん。

何か質問ですかぁ~?

いえ、質問ではなくて……。

相手のチーム、私たちを見るなり全員腹痛をうったえて

棄権すると言ってきたのですが……。

あら、それはそれは……。

私は皆さんを保健室まで連れて行きますねぇ。

この試合は、1-Cの不戦勝ですぅ!

なんだなんだ?

折角、戦いが始まると思ったのに、あっけねーなぁ。

きっと、我らの圧倒的な闘気を感じ取ったのであろう。

賢明な判断であるが、いささかつまらんな!

闘気?臭気の間違いではなくて?
第一回戦目はミリリのチームの不戦勝となった。

そして他のチームの結果が出て第二回戦へと突入。

は~い、それでは試合開始ですぅ。

勝ち上がった1-Cチームとシードの1-Jチームの

対戦になりますねぇ~。

先生、また報告があります。
あら、今度はなんでしょう?
相手のチームですが全員、

貧血になったと言って寮に帰りました……。

あらあら、後で様子を見に行くことにしましょう。

では、この試合は1-Cの不戦勝ですぅ!

なんと!

また不戦勝で勝ち進んでしまったな。

どいつもこいつも張り合いがねえなぁ。

ちゃんと食事とってるのか?

私たち、まだ一ミリも動いてないのですが……。
再び不戦勝となったミリリのチーム。

試合は中盤の第三回戦へと突入した。

試合も中盤へと差し掛かりましたねぇ~。

それでは、1-Cチームと1ーEチームの皆さん、

試合開始ですよぉ!

先生……。
はい、また何かありましたか?
相手のチームがいません……。
あらら~?

あ、トーナメント表に『辞退します』と書かれてますねぇ。

よって、この試合は1-Cの不戦勝になります!

……え?

また不戦勝……?

ミリリ達はついに準決勝へとコマを進める。
いよいよ準決勝ですぅ~!

1-Cチームと1ーHチームの皆さん……え?

はい、はい……なるほど。

えー、この試合、1-Cの不戦勝ですぅ!

なにこれ。
あの……先生。

私たちまだ一回も試合してないのですが……。

……あれ?

ひょっとしてあたし達、避けられてる……?

二回戦目あたりで気づけよ……。

バカかよ……。

こうしてミリリ達は、最後の戦いである決勝戦へと

コマを進めるのであった。

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登場人物紹介

ミリリ・アルベール


15歳。

中ニ病ぎみな女の子。

よくわからない事を呟いてカッコつけているが、

事あるごとに素の口調に戻ってしまう。

また、友達と一緒の時も素の口調であることが多く

中ニ病に入門したてと言ったところ。

胸が小さく、そこを突っ込まれると怒る。

幼い頃、猫の集団に襲われたことがあり、猫は大の苦手。

見かけるとトラウマが蘇ってヘタレる。

ジェノ・サインダー

『我が操るは、混沌から現れた強大な悪夢』

ミリリの相棒である魔物。

形容しがたい形と色と感触をしている。

強大な悪夢、というのはあながち間違いではない。

すし屋の大将で、歴戦の戦士という

よくわからない経歴を持っている。

ネオン・ライナーン


15歳。お金持ちのお嬢様。

事あるごとにミリリに嫌味を言ってくるミリリのライバル的存在。

……と本人は思っているがミリリには影が薄いと思われており、

その存在を中々覚えてもらえない。


自分の相棒は世界一の魔物と思い込んでおり、

色々な生徒に自分の相棒を自慢して周っている。

生徒達からは『何言ってんだこいつ』という目で見られているが、

本人はそのことに気づいていない、ある意味幸せな子。

金持ちの癖に頭が悪い。

ローズマリー


ネオンの使い魔。♀。

顔に合わない口調で喋る壺。

壺なので割れると絶命するが、

破片を集めると生き返ることができる。

ライナ・バーバレン


ミリリの友達。

中学生の時から一緒で仲が良い。

男のようなガサツな言葉遣いをして、

下品な言葉も平気で口にする残念な女の子。

めんどくさいことが大嫌いで、

自分の使い魔の名前すらも適当につけてしまった。

やることなすこと大体適当。

マンマルー


ライナの使い魔。

ライナに絶対的な忠誠を誓っている。

基本的に温厚な性格だが、ライナを侮辱する者や

攻撃する者には口調が荒くなり容赦がなくなる。

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