文字数 814文字

〈P.1〉

暗闇の中、拘束されたままうつ伏せに倒れている黒木。散々、殴られ身体を動かせない。

食事どころか、水分も与えられておらず、憔悴している。尿も垂れ流しになっている。


(回想)

足を舐める黒木を足蹴にする少女。

「もういいわ、ポチ。」

「そのままいい子にしてなさい。」

部屋から出ていく少女。


〈P.2〉

(あれ以来、あの女は来ない...)

(時間の感覚がない...どれくらいの時間が経ったんだ...)


薄れていく意識の中、家族のことを想像する。


(優子、心配してるかな...)

(おれのこと探してくれてるだろうか...)

(さくらの顔がみてーな)

(こんなとこで死ぬのか...)


ガチャガチャと鍵を開ける音がする。


〈P.3〉

少女「ただいま、ポチ。元気にしてた?」

笑みを浮かべる少女。

コンビニの袋を持っている。


黒木「(み...水を......)」

口をパクパク。


少女「喉が乾いたのね。」

コンビニの袋から、ペットボトルの水を取り出す。蓋を開けて、自ら飲む。


少女「ぷはっ。おいしっ。」


〈P.4〉

黒木をじっと見つめ、おかしそうに笑い出す。


少女「うーそ。ちゃんとポチにもあげるからね。」


コンビニの袋から犬用食器を取り出し、水を注ぐ。黒木のすぐそばに食器を置き、頭を撫でる。


少女「ほら、飲みなさい。」


〈P.5〉

黒木は必死で体を動かし、首を持ち上げ水を飲む。しかし、思うように飲めず、食器をひっくり返してしまう。


少女「もう!何やってるの!」

少女の表情が消える。


黒木はまた殴られると思い、体を強ばらせる。


少女は、慈しむように黒木の頭を撫で、もう一度食器に水を注ぐ。


〈P.6〉

少女「次はこぼさないようにね。」


少女はコンビニ袋から菓子パンを取り出す。

少女「私、今このパンにはまってるの。」

包装を外し、パンを半分に割って食器の横に置く。


床に置かれたパン。先ほどこぼした水が染み込んでいくのが見える。

黒木は躊躇せず犬のようにパンにむしゃぶりつく。

少女は機嫌よくその姿を見つめる。


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