第3話 悪魔の前奏曲
文字数 1,329文字
「ムカつくぜ・・・。」
九曜はハイウェイを時速200キロで激走していた。1週間前のレースに負けて以来、すっかり自暴自棄になってしまい、枯れ草の様に廃れていたのだ。ー今まで7年間無敵だったこの俺様がお嬢様みたいな顔の若造に負けてしまうなんて・・・。ー
九曜は溜息を漏らしながら、途方もなく長い距離をひたすら風任せに走るのだったー。
気が付くと、すっかり街並みは違っていた。優しいメルヘン調の街からスタイリッシュなモダンな街へ変貌していた。しかし、九曜の中の腹の虫は大分和らいでいったのだった。
すると、後ろから重苦しく異様な寒気を感じ、振り向いた。30メートル後方から鎌を持った黒いトレンチコートを着たVXがこちらに向かってきた。ガスマスクのような面をつけており、首にはボロボロのスカーフを巻いている。
ーチェイサーだ・・・。ー
市街地では、ファルコン専用レーンと一般道に分かれている。ファルコン専用レーンはあくまでレースや仕事の為にあるものであり、プライベートの時では一般道に出ないといけない。その為、事故を未然に防ぐ為に、非番の時は常に時速200以下に制限されているのだ。こうして事故を未然に防ぐ為にファルコン専用レーンでは、パトロール用VX《チェイサー》が監視しているのだ。
メーターを確認すると、10キロオーバーしていた。奴は鎌を振りかざすと、鎌が喋り出した。
「対象者発見。」
鎌の眼の様な部分が赤くチカチカ点滅していた。
チェイサーはカチカチ音を立てながら右を向き、軽く頷いた。
「了解。」
しかし、何処かがおかしいー。確かに速度オーバーはしているものの、その程度なら鎌を構える様な事はなかった。『厳重注意 』 と、スピーカーが流れて来る筈なのだ。そのうえ、自分は捕まるような重大な犯罪をした覚えはない。
「コレヨリ、刑ヲ執行スルー」
九曜は電磁場の強い場所を探し走った。無闇に《スキル》を使いたくはない。奴ら自動人形 は、電流と磁石に弱い。九曜は、はひたすら電磁場の強い所を探した。彼の力 は電気を集め放出する事である。
「…何なんだ?コイツはオイル飲みすぎて、とち狂ったのか?」
九曜はスピードを緩めると電磁波の強い所を走り、ありったけの電流をかき集め、そしてチェイサー目掛けて光の玉を放出した。VX《チェイサー》は、強い電流に飲み込まれ、一瞬たじろぎカチカチ硬直し、途中で停止した。しかし、戦闘能力の強い彼らにっとって軽傷程度で済むだろう。
チェイサーがカクカク揺れ、動きを停止させている間、九曜はスピードを上げて走った。
しばらく走ると道が切れているのが見えたが。九曜はそのまま加速し、10メートル向こう岸までダイブした。奴との距離は稼げた。
「フー、撒いたか・・・」
九曜は安堵すると共にアクセルを緩めた。例えジェネシスでも、一対一で奴ら《VX》と戦うのは自殺行為であった。屈強なジェネシス4、5人程度で倒せるかどうかのレベルである。
「刑ヲ執行スルー」
振り返ると、遥か上空からチェイサーがダイブしてきた。いつの間に居たのだろうかー?まるで忍の様だ。彼はそのまま鎌を振りかざすと、九曜目掛けて襲いかかる。
「うわぁぁぁぁぁぁー」
それから先の彼の記憶はないー。
九曜はハイウェイを時速200キロで激走していた。1週間前のレースに負けて以来、すっかり自暴自棄になってしまい、枯れ草の様に廃れていたのだ。ー今まで7年間無敵だったこの俺様がお嬢様みたいな顔の若造に負けてしまうなんて・・・。ー
九曜は溜息を漏らしながら、途方もなく長い距離をひたすら風任せに走るのだったー。
気が付くと、すっかり街並みは違っていた。優しいメルヘン調の街からスタイリッシュなモダンな街へ変貌していた。しかし、九曜の中の腹の虫は大分和らいでいったのだった。
すると、後ろから重苦しく異様な寒気を感じ、振り向いた。30メートル後方から鎌を持った黒いトレンチコートを着たVXがこちらに向かってきた。ガスマスクのような面をつけており、首にはボロボロのスカーフを巻いている。
ーチェイサーだ・・・。ー
市街地では、ファルコン専用レーンと一般道に分かれている。ファルコン専用レーンはあくまでレースや仕事の為にあるものであり、プライベートの時では一般道に出ないといけない。その為、事故を未然に防ぐ為に、非番の時は常に時速200以下に制限されているのだ。こうして事故を未然に防ぐ為にファルコン専用レーンでは、パトロール用VX《チェイサー》が監視しているのだ。
メーターを確認すると、10キロオーバーしていた。奴は鎌を振りかざすと、鎌が喋り出した。
「対象者発見。」
鎌の眼の様な部分が赤くチカチカ点滅していた。
チェイサーはカチカチ音を立てながら右を向き、軽く頷いた。
「了解。」
しかし、何処かがおかしいー。確かに速度オーバーはしているものの、その程度なら鎌を構える様な事はなかった。『厳重注意 』 と、スピーカーが流れて来る筈なのだ。そのうえ、自分は捕まるような重大な犯罪をした覚えはない。
「コレヨリ、刑ヲ執行スルー」
九曜は電磁場の強い場所を探し走った。無闇に《スキル》を使いたくはない。奴ら
「…何なんだ?コイツはオイル飲みすぎて、とち狂ったのか?」
九曜はスピードを緩めると電磁波の強い所を走り、ありったけの電流をかき集め、そしてチェイサー目掛けて光の玉を放出した。VX《チェイサー》は、強い電流に飲み込まれ、一瞬たじろぎカチカチ硬直し、途中で停止した。しかし、戦闘能力の強い彼らにっとって軽傷程度で済むだろう。
チェイサーがカクカク揺れ、動きを停止させている間、九曜はスピードを上げて走った。
しばらく走ると道が切れているのが見えたが。九曜はそのまま加速し、10メートル向こう岸までダイブした。奴との距離は稼げた。
「フー、撒いたか・・・」
九曜は安堵すると共にアクセルを緩めた。例えジェネシスでも、一対一で奴ら《VX》と戦うのは自殺行為であった。屈強なジェネシス4、5人程度で倒せるかどうかのレベルである。
「刑ヲ執行スルー」
振り返ると、遥か上空からチェイサーがダイブしてきた。いつの間に居たのだろうかー?まるで忍の様だ。彼はそのまま鎌を振りかざすと、九曜目掛けて襲いかかる。
「うわぁぁぁぁぁぁー」
それから先の彼の記憶はないー。