第2話 錬金術
文字数 319文字
「・・・金が太陽であるのに対して水銀は月、陰のシンボルとされる。水銀にはふつうの金属には見られない奇妙な性質がある。それは現代の科学ではアマルガムと言っているが、鉄やニッケル、マンガンなど一部の金属以外のたいていの金属と、簡単に結びついて合金となったり、化合してしまうことである。金でも水銀の中に溶け込んでしまう。これは陰と陽の結合、二元のものが一元化されたと解釈できる。水銀はふつう辰砂と言われる朱色の鉱物から採取される。・・・」
吉田 光邦
「錬金術 仙術と科学の間」
中央公庫