22. 精霊占いと予言
文字数 1,491文字
「カイル、行こうか。」
ジャックは背中を向けた。
「え、あ・・・うん。」
二人の会話に圧倒されていたカイルは、慌てたように付いて行く。だが、部屋を出る直前にふと振り向いて、レッドに指を突き付けながらこう釘を刺した。
「今日は絶対、安静だからね。」
そのあとレッドの耳に、「ねえ、どういう知り合い?」と問うカイルの声と、「ただの戦友。」と答えるジャックの声が聞こえた。
それに耳を澄ましていたレッドとスエヴィは互いに顔を見合ったが、スエヴィは意外という面持ちをしており、レッドの方は微 かに苦笑 いを浮かべていた。
なぜなら、テリーのことは軽く聞いてはいたが、スエヴィの知っているレッドは真の勇者で、尊敬に値する非の打ち所のない戦士の鑑 、それにほかならないからだ。弱いところを見せることもあったなど、想像もできなかった。
だがスエヴィは、「さてと・・・。」と言ってただ伸びをすると、窓辺に歩み寄って空を眺めた。
「俺もそろろろ帰るかな・・・。」
レッドは、それがトルクメイ公国へ・・・であることをすぐに悟った。
「スエヴィ・・・。」
レッドは何か言いたかったが、言葉が見つからずに口籠 もった。
スエヴィはそんなレッドに微笑みかけ、ミーアに目を向けて、それからまたレッドを見た。
「今のままにしていくために・・・か。」
それを最後に、スエヴィは軽く手を一振りして去って行った。
その足音が遠くなると、リューイはベッドの空いている場所に腰掛けた。つまり、レッドに背中を向けていることになる。
「神々の中心・・・? オル・・・何だっけ? 覚えられね。」
リューイが首を捻ると、「オルセスさん?」と、ミーアが隣に腰かけて、足をぶらぶらさせながら言った。
「確かオルセイディウスだ。そんな神の名を聞いたことあるような気はするけどな。」
そう答えながら、レッドは今になって上着に手をかけた。すでに体中が汗でいっそうべたついており、頭痛は引いてきたものの頭も呆然 としていて、吐く息が異常に熱く感じられていた。
「薬が効 いてきたか・・・。」
ベッドの上に無造作 にシャツを脱ぎ捨てて、レッドは汗ばんでいる自分の左胸を撫 でた。指に汗が絡みついた。
ミーアにタオルを取ってくれるように頼んだレッドは、「占いもするとか言ってたから、その結果による予言か何かが関係してるんだろ。ちなみに、予言ってのは未来を予測する言葉だからな。」と、きかれるのを予測してリューイに言った。
「オル何とかってヤツに会うってのが? 何をしようってんだ。」
「さあな。近くにいると思ってるのは、それでだろう。」
レッドは、もう存分に両腕を動かして、上半身の汗を自ら拭っていた。だが、その腕はまだ異様に重く感じられる。
ベッドに片手を付いたリューイは、腰を捻ってレッドに顔を向けた。
「なあそれと、精霊を操ってって?」
「ああ、あいつは精霊使いなんだと。」
「精霊使いってのは、占いも予言もするのか。」
「よく知らんが、そうなんだろう・・・占いあっての予言だと思うけどな。」
レッドはアイアスの紋章を曝 け出して、リューイが持ってきてくれたシャツに堂々と着替え終えた。そしてまたゆっくりと横になった・・・が、あんな言葉を聞かされてはどうしても考えてしまい、落ち着くことはできなかった。
神々の中心。
リューイは腰を上げながら、レッドが脱ぎ捨てたシャツを拾い上げた。それからレッドを休ませてやるようミーアに言い聞かせて、二人で部屋を出ていった。
それを見届けると、レッドは無理に思考を遮断 して目を閉じた。
妙な不安を伴 う、その胸のわだかまりは拭 いきれないまま・・・。
ジャックは背中を向けた。
「え、あ・・・うん。」
二人の会話に圧倒されていたカイルは、慌てたように付いて行く。だが、部屋を出る直前にふと振り向いて、レッドに指を突き付けながらこう釘を刺した。
「今日は絶対、安静だからね。」
そのあとレッドの耳に、「ねえ、どういう知り合い?」と問うカイルの声と、「ただの戦友。」と答えるジャックの声が聞こえた。
それに耳を澄ましていたレッドとスエヴィは互いに顔を見合ったが、スエヴィは意外という面持ちをしており、レッドの方は
なぜなら、テリーのことは軽く聞いてはいたが、スエヴィの知っているレッドは真の勇者で、尊敬に値する非の打ち所のない戦士の
だがスエヴィは、「さてと・・・。」と言ってただ伸びをすると、窓辺に歩み寄って空を眺めた。
「俺もそろろろ帰るかな・・・。」
レッドは、それがトルクメイ公国へ・・・であることをすぐに悟った。
「スエヴィ・・・。」
レッドは何か言いたかったが、言葉が見つからずに
スエヴィはそんなレッドに微笑みかけ、ミーアに目を向けて、それからまたレッドを見た。
「今のままにしていくために・・・か。」
それを最後に、スエヴィは軽く手を一振りして去って行った。
その足音が遠くなると、リューイはベッドの空いている場所に腰掛けた。つまり、レッドに背中を向けていることになる。
「神々の中心・・・? オル・・・何だっけ? 覚えられね。」
リューイが首を捻ると、「オルセスさん?」と、ミーアが隣に腰かけて、足をぶらぶらさせながら言った。
「確かオルセイディウスだ。そんな神の名を聞いたことあるような気はするけどな。」
そう答えながら、レッドは今になって上着に手をかけた。すでに体中が汗でいっそうべたついており、頭痛は引いてきたものの頭も
「薬が
ベッドの上に
ミーアにタオルを取ってくれるように頼んだレッドは、「占いもするとか言ってたから、その結果による予言か何かが関係してるんだろ。ちなみに、予言ってのは未来を予測する言葉だからな。」と、きかれるのを予測してリューイに言った。
「オル何とかってヤツに会うってのが? 何をしようってんだ。」
「さあな。近くにいると思ってるのは、それでだろう。」
レッドは、もう存分に両腕を動かして、上半身の汗を自ら拭っていた。だが、その腕はまだ異様に重く感じられる。
ベッドに片手を付いたリューイは、腰を捻ってレッドに顔を向けた。
「なあそれと、精霊を操ってって?」
「ああ、あいつは精霊使いなんだと。」
「精霊使いってのは、占いも予言もするのか。」
「よく知らんが、そうなんだろう・・・占いあっての予言だと思うけどな。」
レッドはアイアスの紋章を
神々の中心。
リューイは腰を上げながら、レッドが脱ぎ捨てたシャツを拾い上げた。それからレッドを休ませてやるようミーアに言い聞かせて、二人で部屋を出ていった。
それを見届けると、レッドは無理に思考を
妙な不安を
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