第12話 怒りの日記

文字数 851文字

怒りの日記

私は感情の起伏が少ないのです。
性格的に冷めているところがあり、また、意識的に冷静であろうと努めているところもあります。
子供のころから冷めている、とよく言われましたし、今でも言われます。

そんな私ですが、この前、ものすごく腹が立ちました。
イラついて、仕事に支障がでるほどでした。
イライラしていると、仕事の精度も効率も半分以下になるようです。
どうしても頭の中にイラつきが入り込んでしまい、集中できないのです。

音楽を聴いてみたり、チョコレートを食べてみたりしたのですが、怒りを鎮める効果はありませんでした。大好きなTETORAの音楽でさえ、怒りを鎮めて気持ちを切り替える効果が無かったのです。
もう、時間により怒りが風化するのを待つしかありません。
諦めて時間が過ぎるのをただ待つだけです。

そこで1つ思ったのです。
私は、ここまで怒りを感じることはめったにないのです。
なので、これはとても貴重な機会だと。
こんな風に怒りを感じることはめったにないから、怒りが風化する前の今のうちに記録に残したい、と思ったのです。
急いで、日記を書き始めました。

こんな風に怒りを感じているのなら、忘れないうちにこの感情を書き留めておきたい、と。

で、怒りは2~3日で収まり、今はとても冷静です。

それで、その怒りに任せて書いた(つもり)の日記を読み返してみたのです。

日記には、私が腹を立てた原因となる出来事が客観的に書き連ねられているだけで、日記からは肝心な私の怒りの感情が読み取れないのです。もっと怒っているときの心の中の動きとか、どんな精神状態だったのか、とか、そういうことが書いてあって欲しかった。。。

ただの客観的な出来事の羅列でしかないのです。。。
怒っているわりに、随分と冷静に書いているな、と。

自分の日記にとてもガッカリしました。
出来事は思い出すことができても、怒りの感情そのものは風化してしまって、ちゃんと思い出すことができなくなってしまいました。

感情そのものを記録する方法はないものでしょうか。

神山ユキ
2023.2.5
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