第1話

文字数 1,115文字

ナンバガ2月に再結成でわやわやしている界隈で、NITRODAYが新譜を「ヘッドセット・キッズ」♪O(≧∇≦)O♪
 台風みたいなポップチューンと思わせる手口か岡村ちゃんを彷彿とさせる「ダイヤモンド・キッス」は見事に「ブラックホール」で無限領域へとブッ込まれる。
 重粒子でこねくり回されたあげく、ついに事件は「アンカー」で起きていく。決して会議室ではない。大事なことだからもう一度言う。事件は「アンカー」で起きたのだ。
「アンカー」下北沢や吉祥寺の狭く凝縮した、もはや商売二の次だオレら文化遺すぜ的なハコでTシャツにまみれてるハードコア! punk!
 あぁ、学園祭や文化祭のコピバン増えそうだなぁ、なんて思ってる場合じゃなかった。
 マジ? こっち来んの?
 バブル乗り遅れてsyrup16gとか北海道punkとかに救ってもらった我々のところに来ちゃうの?
「少年」を振りかざして幻滅しまくるバンドは山ほどあるけれど、立ち向かう宣誓をした「ブラックホール」信じてもいい?
 だいたい少年は試される。
 夜の街の圧、ガードレールの裏の心地よいPOPカルチャー、布団の上に追いつめられた誠実さ。
 オルタナであることは少年であることと等しい。踏み越えるかすり抜けるか、言葉はとても気まぐれで、味方でいてくれるときもあれば、牙を剥くときもある。かれの宣誓を急かすように距離を縮めてくるリズム隊、本気を確かめるみたいに切れ味鋭く削ってくるギター。孤独に追いやられる歌と「少年」は、それでもTシャツの海の中へダイブして、宣誓をし続ける。
 現実は音楽に厳しい。今は特にそれを感じずにはいられない。何百万枚ものCDが売れた時代とはもう違う。それでも音源を出し、聴いてもらいたい叫びがあるから、音楽は止まない。NITRODAYの叫びは「少年」であること、NITRODAYの年齢そのままの不安や孤独。
 なんでだろう。
「本当のdance,chance,romanceは、自分次第だぜ」
 って、聴けば聴くほど、岡村ちゃんの歌が重なった「ダイヤモンド・キッス」
 真摯なんだろうな、音楽とか仕事とか生活とかに。こんな懐古趣味の元kidsの疲れたハートにも、ど真ん中に撃ち込んでくるハイトーンボーカルの「少年たちの予感」
 きっとそれはあの頃、確率論なんか全く無視して、少年であれば誰にだって平等に恋も仕事もお金も与えられると無邪気に無知を丸出しにしていた我々を笑い飛ばしていた「大人」へ、一発くらわしたかった「少年の宣誓」しそこねた、後悔と絶望なんだわな。うん。こっち来んの? なんて言ってゴメンナサイ。
 今さらだけど、そっち行っていい?
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