盗撮

文字数 523文字

 まさしく針の穴を通すような絶妙なコントロールが要求される。ぼくは授業中にわざと消しゴムを落とす。隣の席に坐っているのは、紛れもなくクラスでいちばん可愛い女の子だ。その消しゴムを彼女に拾ってもらったら、せっかくの計画が台無しになってしまう。このときは、どんなことがあっても自分で拾うのがポイントだ。それと、もうひとつ重要なポイントは、自分と彼女の席がクラスでいちばん後ろだということだ。

 ぼくは例え視力が0・0000でも、この座席は誰にも譲らない!

「消しゴム落としたわよ」
「いいよ、自分で拾うから」
「あ、そう」

 彼女は頬づえをついたまま完全に油断している。
 先生とクラスメイトは授業に集中している。
 いまが絶好のチャンスだ!
 ぼくは彼女の背後にまわり込み――だから、言ったろう。針の穴を通すような絶妙なコントロールが要求されるって――しゃがみこんだ姿勢のまま消しゴムを拾いつつ隠し持った超小型カメラで瞬時にシャッターを切る。
 
 ぼくはどうしようもない泥棒だ。
 盗撮という名の……
 ぼくは自分の席についた。

「正美くん」
「なんだい」
「スカートと太ももの隙間からパンティを覗き見るのって楽しい?」
「えっ」

 
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