第5話 帰ってちょうだい

文字数 472文字

 「そのとおり。ということで、ご褒美を君にってわけなんだけど」

 またも私の心を読んでしゃべりはじめた何とかセイバーのほうに向かって、ちょっと待ってよ、と言いおいて、私は思い切り不愉快な顔をしてみせた。

 「あのね。そうやって心を読まれるのって、とっても気分が悪い。私の考えていること、筒抜けなの? だったら全然気が抜けない。ご褒美なんか要らないから、帰ってちょうだい」

 「ええ?」
 明らかにショックを受けた情けない顔で、セイバーは驚いてみせた。それから、
 「不快にさせたのならごめん。なるべく聞かないようにする。でもさ、強い感情は勝手に聞こえてきちゃうんだよね。それは僕たちにはどうにもできないんだ」

 ほら、傍で大声で話をされると、聞かないようにと思っていてもどうしても耳に入っちゃうでしょう? あんな感じなんだ―。しどろもどろにそう言う脇で、何とかシェイバーが、またもうんうんと頷いていた。なるほど。

 「じゃあ、しょうがないわね。なるべく聞かないようにしてよ?」
 「了解!」

 セイバーが、生真面目な顔で敬礼した。
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