第1話 学園無双!

文字数 5,876文字



「転校生を紹介する」
「入ってきたまえ!」

ガラガラッ 「失礼します! 田中入ります!」

おお、体育会系?軍人系?
細い体格だからオタ?

「では自己紹介するように」

「吉田です。姓はヨシ、名前がダ」

クラスを睥睨する吉田

全員が何も理解できていないことを確認したのか?

「嘘だ。・・人の言うことをそのまま鵜呑みしてはいけない、良い教訓になったかな?

諸君に朗報だ。僕の名前をおしえてやろう。

ジョン・スミスだ。」

「えー、うっほんっ、、これは本当だ。
先生が親御さんに確認した。
名字が墨田区の墨、須賀川の須。で、スミス。
・・・
ジョンは、ご両親が彼の生まれる前に飼っていた犬だそうだ。彼が産まれた時、生まれ変わりだと両親揃って感じたので、そう名付けたそうだ。」

「そうだ!良い名前だろう?ちなみにジョンは今は自宅警備犬になっている。18歳だ。長生きだろ?俺より年上なので兄と呼んでいる。」

生まれ変わってないじゃん、、、、

(聞いてねぇよそれ、、)担任
「その、なんだ、、このように、ちょっと、変わっているというか、、なんだ、、その、、ご両親も、その、、アレ、なんで、、
お前ら、いいか?刺激するなよ?
ではHRを終了だ。 くれぐれも、なかよくなっ!!」

「うん?僕の席は・・うん、ここでいいのかな?」

「うわっつ!!やめてくれよっ!!」
前列の真ん中にいた男子の膝の上にいきなり座るジョン。

その子は机の中身をかきあつめ、後ろに空いていた場所に移動した。



さて、と、ぎゅるりん!!と首だけを真後ろに回したジョン。

「君、名前は?」
・・・・・ ショックで口が聞けないメガネ男子生徒
「おい、君に聞いているんだが」
「・・・あ、、、ああ、、」
「嗚呼君か、良い名前だな、よろしくなっ!!」
もう既にどーでもいいやモードに入っていた彼が、その名に意義を唱えることなどできるだろうか?いいやできない。

更にグリンと+50度回し、斜め後ろのおさげ女子に
「きみは、、、そう、、さげ美?」
「・・・違う、、、ともみ、、、」
「だいたいあってるうう!!」
「・・・違うと思う」
「いいんだよそのくらい、俺だってたまにマッコイって呼ばれるけど、返事しているぜ?」サムズUP!
誰にだよ、一文字もかすってすらいないよ!

そのまま+130度回し、前に向き直った、、、向き直った????

アンタッチャブル!!!



休み時間
どこにでも勇者はいる

「へい!グレン!どうだい調子は?」
「へいっおまち!おいおい、誰がグレンラブラガンだよ、グレイスリーの間違えだろう?」
誰だ?
「まぁいいさ!リーアズナブルはどこから来たのかい?外国か?」
「ゴンザレスよ、いきなりだなぁ、、、まぁお前と俺の仲だ、その際仕方がなかろう、ムタエラだ。ムタエラから越してきた」

?どこだ?皆検索しろ!!・・ねーよ、、、ムタ、、、
大牟田か?
おい、ゴンザレス、多分大牟田だ!
誰が!!まあいい、ありがとう!

「そうか、さほど遠くもないところだな、新しく家でも買ったのか?」
「流石に、いえを飼うほど好き者ではないな、あれの飼育はかなり、アレだろう?」
「ま、、、まぁ、、そうだな、、、アレ、、だな・・・」
がんばれゴンザレスッ!!
誰がっ!!


昼休み
「ゴンザレス、君は食堂にいくのかい?」
「・・うん、弁当が無いからな」
「では一緒に参ろう」

「おお!これは!!A定食!!なんと!B定食までもが!!」
「おいおい、大げさだなー」

「何を言う?!夢にまで見たA定食B定食をこの目で見たのだ!!嗚呼!!ムタエラで日本のサイトを見ながら、どれだけ恋焦がれたことかっ!!!」
「・・・そーかそーか、、、、」

で、きつねうどんを頼んだジョン。


食べ終え、ポケットのハンカチを出して口を拭うジョン。高貴か?

「さて、僕は生徒会というものに興味がある。」
「向こうではなかったのか?」
「うむ、、、学校自体がな、、、、」
どんなとこだったの? いや、絶対聞きたくないけど、、

「んじゃ、行ってみる?」
「えぇー?いまからぁー?ちょっとなぁー、まだ心の準備がぁーー」
めんどくさいので手を引っ張って行く。


「ここだ」
ノック、「失礼します!!」、ガラガラー
「2の3、ゴン、・・山田入ります!」

「ほう、彼はニノさん、日本人に見えるが、なるほど、、」
放置がふさわしいと即決ゴンザレス

「なんだね?」
メガネ少年が言う。
「彼は転入生なのですが、生徒会に興味があるとのことで連れてきました」
本心は? おしつけてやれ!!

「ほう!我が校に編入?かなり難しいはずなのだが、、優秀なのだな。よし、助手がほしかったところだ。
君、僕の助手から始めて見ないか?」

「トップ直接の手駒か、、悪くは無いでござる。
拙者、田中吉田と申す。以後お見知りおきを。」

田中が姓で、ヨシダが名前?まぁいい、田中と呼べば済むだけだ。と会長。

「ゴン山田君、ご苦労様、もう下がっていいよ」

ゴン山田はやっと開放された。その開放感といったらっ!!!

廊下に出た山田はひゃっっほー!!といいながらスキップで帰っていった。今日はもうさぼろう!ゲーセンに行ってあそびまくろう!!
無意識に、山田の脳が汚染された精神の回復を要求しているのだった。




帰宅した会長。

なんだったんだ、、、
ほとんど、記憶が、、無い? 覚えていない? 何があったんだったっけ?
そうだ、転入生を入れたんだ、どこに、箱の中?・・・・
違うかもしれない、、


秀才ほど、脳をギリギリまで使うので、でかいバグが起きたら収拾が難しい。

一体何を?ジョンが何をしたのか?ジョン本人はいたって普通に行動したつもりらしいので、本人は自分が彼に与えた影響があったなどと露ほどにも思っていない。





二学期の中間テスト。
後ろから前にかけて答案用紙を集めていた最後尾座席の生徒が、ふとジョンの解答用紙を見た。
白紙?名前さえも?!!
なんかの抗議なのか?!!
次のテストも、その次も、全てだった。

彼は怖くて誰にも話さなかった。

中間テスト成績上位者発表。
ジョン隅須、学年中4位。
クラスで話題になっているので、不思議に思いその男子生徒は見に行った。
確かに4位だ。

思い切って担任に聞いてみた。
担任は、そこにあった封筒を切り開き、表の部分のウラ面からライターであぶった。
文字が出てきた。
「これは彼の両親からの手紙の封筒だ。・・・
 そうだ。あぶり出しになっている。隅須家の家訓だそうだ、書き物はあぶり出し以外をつかってはならない、と。それは学長も容認している」

え?
だって、ジョンはノートとっているよ?シャーペンで、、、


でも自分では接触したくない少年。
なので
「ゴン、・・山田くん、」
「誰がゴン山田だ、生徒会ではもうその名で呼ばれたけどなー」
「ごめん、、これこれこういうわけで・・」
説明した。
「で?自分で聞きに行きタマへ」
「えーー頼むよー、君とジョン君の仲じゃん!!」
「はっはっは!その仲は、もう生徒会に移籍してあるのだよ!!はっはっは!」

「やあ!権左、それと、うちの一番後ろの、、最後、、西郷くんだったな!」
ちがうよっ!でも面倒だからどーでもいいよっ!!
「いきなり日本名してくれたなー、ジョン田中吉田君、いったい何事だい?」
「はっはっは、君たちが楽しそうだから何事でも起きたのかと思ってな!」
日本語っつ!!

「ぢつは、、ジョン君の家は家訓であぶり出ししか書けないと聞いたけど、シャーペン使ってていいの?」
「ああ、あれはあぶり出し用シャーペンなんだが、間違えて普通の芯を入れてしまうこともあってな、」
一瞬でノートを取ってきて開いた、どう動いたかは見ていたはずなのに説明できないだろう2人。
「ほら、ここからこのページのみ見えるだろう?だが、、、
ポケットからアルコールランプを取り出し、ライターで火を着け、ランプの火であぶるジョン
意味あるのか???
「ほうらっ!出てきた出てきた!」
パラパラマンガが出てきた。



下校時、西郷と権左は何気なく一緒に出た。
「「はぁーーっつ、、、」」
「やつが転校してから、家に帰ると一気に疲れが出てよー爆睡よ、、、」
「多分僕も今日は、、、。 他の奴らにも、知ってもらいたいなぁー」
「今、生徒会が大変なんじゃないかなぁ、ぷっ」
「ああ、移籍って、、押し付けたのか、、、だよなぁ」
「ああ、流石に3年でトップの会長なら太刀打ち可能だろーー?」
「・・・・・・・」



その頃生徒会室
「ニノ会長殿! この書類の”ぶんかさい”とやらは、あのぶんかさいのことですかな?」
「ああそうだ、君は外国から来たのだったな、初めてか、文化祭は」

「ニノ会長殿のおっしゃるとおり、我が身、ぶんかいさいをおこなったことございませぬ。

 嗚呼、どれだけ破壊するのやら! ここは日本、町の1つや2つくらいでは到底収まらぬものであろうよっ!

 ニノ会長殿!拙者”ぶんか砕”を心底たのしみにしております。ぶんか砕のために、本日より鍛錬をはじめ、より多くを破砕することを誓います! して、破砕相手は敵ということでよいのですか?」

・・・・・・
「副会長、、ちょっと、、 ひそひそ、彼に文化祭とはどのようなものか、を教えてやってくれないか?」
「いやです」
「え、・・教えるだけ、、
「いやです」
「少しで
「いやです、これ以上言うと、私、今日を最後に来なくなりますが?いいですか?」
「・・・わかった、自分でどうにかするから、、、」

そう言えば、去年以前の文化祭のビデオがあったな、、、ラッキ!
「田中君!君に文化祭とはどのようなものか教えねばならない。君は文化祭を誤解して覚えているからね」

視聴覚室にてビデオ再生。CDやDVDに焼いておいてくれれば生徒会のPCでもみれたのにー。


「・・こんなの文化祭じゃない」
「へ?」

「こんなの、ぶんか砕じゃない!と言っておるのですっ!!」
「へ?いきなり、、何を?」

「文化とは、建物!、人々の生活!、日常!、それら全てが文化っつ!!それを破砕してこその”文化(破)砕”っつ!!」

「ちっ違うっ!!(破)は入っていない!!よく見ろ!”文” ”化” ”祭”だろ?「”さい”は”まつり”のことだっつ!!!
お祭りなんだよっつ!!皆が楽しみにしているのに破壊しないでくれよっつ!!たのむよっつ!!!」

「ふむ、会長殿にそこまで頼まれてしまうと、拙者も容認せねばなりませぬな、、、では
 妥協案として、半分破砕?」

「半分でも全部でもいっしょだろーがっ!!皆が不幸になるわっつ!!!!」

「ふむ、不幸はよろしくない。ですな、、では、今回は、様子見、ということで、、」
「・・いいな?何もするなよ?特に破壊活動、破砕活動は一切禁止だからな?」

「はっはっは!おまかせあれ、拙者が警備をして、破壊やら破砕やらをしたがる者共を、こっぱ
「だからっ!!やるなっつ!!!」


とりあえず、文化祭は通常通り開催されそうだ、と会長は生徒会メンバーに述べた




ゴン山田は気になっていた。
ムタエラが本当にある場所なのではないか?
なんとなくそんな気がしているのだ。
ジョンは嘘というか悪意のない冗談を言う。が、これはそのようなものではないのではないか?と。
で、
もしかしたら、「呼び名が違う?」

山田は以前家族で海外旅行に行った。数泊のみの短い旅行だったが、タイの島に行った。
子供心にも「こんなとこに住みたいなー」とさえ。
で、そのタイの首都がバンコク、しかしタイ人達はクルンテープマハナコーンなんたらかんたらという名で呼ぶ。
多分、そういう土地は世界で多いのではないか?

英語、考えうる様々な文字を宛ててみたが、見当たらない。英語サイトは翻訳サイトを使って翻訳している。
スペイン語、フランス語、ロシア語、
アラビックは到底無理だ、、、が、、気がいついた、ムタエラという呼び名も、ムータイーラ、とか少し違うんじゃないか?と。

で、アラビア語圏で、そういう感じの呼び名の小さな町があった。

大国の経済侵略により国土全体が戦乱に巻き込まれた小国だ。
ムタエラも難を逃れることは無理だったろう。

ネットが使えたと言っていた。商社関係?政府関係?軍関係?
戦乱のさなかのさほど大きくもない町、でも立地的に要衝だと素人の山田でもわかった。
それこそ攻撃と防衛の攻防は何度も何度も激しかったことだろう。
ジョンが日本に帰国したが、現地はまだ平静化に程遠い。

山田は、昔の友人を思い出した。中学のはじめに転校していってしまい、それきりになってしまっているが。
彼はいつも笑って陽気だった。でも、山田だけは知っていた。彼の家庭は学校の中でも誰よりも不幸だったことを。
本当に不幸な者ほど、陽気なんだよ。と、誰かに言われたことを、今、なんとなく思い出した。




結果的には、文化祭は大成功。
例年、近隣の不良高の生徒が結構問題を起こすのであったが、今回は全くソレがなかった。
姿すら見せなかったので、生徒はのびのびと文化祭を造り、楽しめた。






ある日の放課後。
ジョンと、ゴン山田と、西郷で「本屋に行こう」と。連れたった。

その途中、向こうから不良高校の一群があるいてきた。が、
こちらを見た途端、すっと車道側に一列になって直立していた。
ゴン山田達はその前を何事もなく通り過ぎた
西郷は、その不良達が顔中から汗をだらだら流し、目線すら微動だにしないのを見た。



「ほう!これがエロ本というものかっつ!!ほしいのう!!」
「やめて!!何恥ずかしいことやってのさ!!」西郷
「むー、流石に俺でもエロ本を選ぶ時はこそこそするけど、ジョンはすげーよなー、図太さww」

それから買った本を持ってファミレスに。勿論エロ本は買わせなかった。
小一時間さわいで別れて帰宅。


あるアパートの一室。
少年が窓際にある机に付いて、ヘッドセットをはめ、何かの機械をいじっている。
カタ、カタカタカタ、カタカタ、カタ、カタカタカタカタ、カタカタ、・・・
「ふう、そうか、、予定よりもかなり早く、、」





それから1週間後の朝のHR。
「えー、ジョン君が転校していきました。彼のご両親の仕事先がまた海外になったとのことで、今朝の飛行機で発ったんじゃないかな?。彼の要望で、出るまで言わないでいてくれ、とのことだったので。
”とても楽しい学校生活を送れた。どうもありがとう。これからも皆の無事を祈る”とのことです。」


ゴン山田、西郷、ジョンの転校を知ったニノ会長、ほか数名が、その日その後さぼって帰った。






ちなみに、ジョンの兄(犬)の名はジョン一郎・隅須。
走りが早かったので、盗塁王を目指してもらおうと、、、by両親

飯は見る用と食う用はべつなものだ。
と、最後まで定食を喰わなかったジョン、後悔していないのかと今でも心配なゴンザレス。
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