第肆夜
文字数 657文字
突然吹いた強い風に、目の前のお堂の扉が勢いよく開いた。
「?!!」
一瞬身を硬くした少女だったが、神様が自分の願いを叶えに来てくれたのかもしれないと思い、恐る恐る開いた扉へと歩み寄った。おさい銭箱の横をすり抜け、数段しかない階段を踏みしめるように上る。ぽっかりと開いた扉の前に立った少女は、お堂の中をうかがうように視線を走らせた。が、そこにはただ一体の仏像が鎮座するのみで、ほかに誰の姿も見当たらない。
「……神様?」
ぽつりとつぶやいた瞬間、少女の腕をがっしりとつかむものがあった。
「?!!!」
驚いてつかまれた腕へ視線を向ければ、そこにはしっかりと自分の腕をつかむ、空中から生えた白い子供の腕が一本。
「っ!? あっ……あっ……!!」
恐怖のあまりひきつる喉で叫びながら、逃れようと腕を振り上げた。しかし、それはすぐに現れた新たな手によってはばまれる。逃げるどころか引っ張り込まれて、少女の小さな体をお堂の中へと引き倒された。
「きゃあっ!」
瞬間的につぶった瞳を再び開いたとき、目の前にあったのは自分を覗きこむ白目を向いて、歯をくいしばったもはや生きていない死人の顔だった。
「はっ……ぅ……ぁあああああああああっ!!!!」
あまりのことに少女が悲鳴を上げた瞬間、お堂の中へと強く風が吹きこんだ。かろうじで外界に残っていた少女の体は吸い上げられ、バタリとその扉は再び閉じられたのだった。
そうして何もなかったかのように虫の声が響き、気がつけば太陽は沈みかけ、夕闇の迫る時刻になっていた。
「?!!」
一瞬身を硬くした少女だったが、神様が自分の願いを叶えに来てくれたのかもしれないと思い、恐る恐る開いた扉へと歩み寄った。おさい銭箱の横をすり抜け、数段しかない階段を踏みしめるように上る。ぽっかりと開いた扉の前に立った少女は、お堂の中をうかがうように視線を走らせた。が、そこにはただ一体の仏像が鎮座するのみで、ほかに誰の姿も見当たらない。
「……神様?」
ぽつりとつぶやいた瞬間、少女の腕をがっしりとつかむものがあった。
「?!!!」
驚いてつかまれた腕へ視線を向ければ、そこにはしっかりと自分の腕をつかむ、空中から生えた白い子供の腕が一本。
「っ!? あっ……あっ……!!」
恐怖のあまりひきつる喉で叫びながら、逃れようと腕を振り上げた。しかし、それはすぐに現れた新たな手によってはばまれる。逃げるどころか引っ張り込まれて、少女の小さな体をお堂の中へと引き倒された。
「きゃあっ!」
瞬間的につぶった瞳を再び開いたとき、目の前にあったのは自分を覗きこむ白目を向いて、歯をくいしばったもはや生きていない死人の顔だった。
「はっ……ぅ……ぁあああああああああっ!!!!」
あまりのことに少女が悲鳴を上げた瞬間、お堂の中へと強く風が吹きこんだ。かろうじで外界に残っていた少女の体は吸い上げられ、バタリとその扉は再び閉じられたのだった。
そうして何もなかったかのように虫の声が響き、気がつけば太陽は沈みかけ、夕闇の迫る時刻になっていた。