第1話

文字数 671文字

ある外国で、日本へのお土産を探しておりました。
売り子の御婆さんが、1本1000円でどうかと声をかけて来ました。
御婆さんの知る日本語は、この1本1000円だけでした。
日の丸の入った扇子を、1000円1000円と日本語で売り込んで来ました。
私は、日の丸の扇子は気に入っておりましたが、1本1000円は高いので即断りました。
すると、帰る別れ際になって、1本1000円を10本で1000円にまけると
言って来ました。私は、日本へのお土産として日の丸の扇子は気に入っていましたし、
10本1000円なら安いし、10本あれば十分にお土産のなると思い、
だまされたつもりで購入してしまいました。
時間的に包みの中味を確認出来ないままに、10本入りの包みを日本に持ち帰り
ました。
日本に帰り、お土産を配る為に包みを開けてビックリでした。
扇子の入った箱は、8本で2本の不足です。
更に、その他の箱の3本は空箱で扇子は入っていませんでした。
結局、手にしたお土産の扇子は5本でした。
安物買いの銭失い状態でした。
まさしく、この御婆さんに完敗でした。
鮮やかな手口に感心もしました。
ここからは、後日談ですが、悔しくて外交窓口に届け出ました。
この御婆さんは、地元では有名なやりての御婆さんと解かりました。
この御婆さんの年間売り上げは、下手な大学教授より高いとも教えて頂きました。
この様に見事にだまされましたが、この件もあって
会社の海外渡航者に対する注意事項は強化され、この御婆さんの国の
取り締まりも強化された様です。
当社の海外渡航者向け注意喚起が足りませんでした。
御婆さんありがとう。


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