ようこそ

文字数 755文字

広大な敷地、研究棟、物々しい倉庫。

「スッゲーな。何だ? ここ」

 森をくぐり抜けた瞬間、辺り一面には青々しく芝生が広がり、ひときわ目立つ建造物に圧倒された都丸はヨロヨロと尻もちをついた。
 よく見ると芝のところどころにラインのようなものが見える。尻もちついたからわかったようなものの、赤外線のように照らされているラインは普通の角度からはわかりにくい。
 都丸は立ちあがり、研究棟へ向かう。

 一歩、進んだときーー。

どこからか機械音のような、カシャンカシャン変な音が背後から聞こえた。
 振り返ると銀色のロボットが何体も、都丸に向かって歩いている。都丸が方向転換するとロボットも同じほうへ。

「おいおい……」

ロボットは目で威嚇する。侵入者と判断したのだろう。容赦なく都丸を隅に追い詰める。
 振り返るとさっきうっすら見えたラインが赤く光り出した。
「完全に赤外線のオーラだ! あれに触れちゃ痛い目にあうんだろうなーーッ。よーーっ!
あさぎりーー! いい加減こいつら何とかしてくれよ!」

 一体のロボットが手を振り上げた瞬間、ロボットは動きを止めた。おそらく遠隔操作で朝霧が止めたのだろう。
 ギィっと鈍い音がすると〝どうぞ〟といわんばかりに研究棟の扉が開いた。

「あんにゃろう」

 都丸はリュックを背負い直し、中に入っていった。招待客が入るとドアは自動で閉まり、静かになった。

「やぁ、ようこそ。わが研究棟へ。
 久しぶりだな、都丸」

「随分な出迎えだなー、おい」

「なかなか優秀だったろ? お前がアドバイスくれた方法であれから頑張ったんだぜ?
あれでセキュリティモード3段階中2番目」

「とりあえずどこか座らせてくれよ」
すると朝霧は客間でなく、詰所のような部屋に都丸を通した。
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